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誠実さ
- 原語
- conscientiousness
- 研究
- オランダ アムステルダム自由大学
この研究のふむふむポイント
誠実さを低くする遺伝子があった!?
アムステルダム自由大学の研究によると、とある遺伝型をもっていると、誠実さのテストでスコアが低い傾向があることがわかりました。
「誠実な人」ってどんな人?
「誠実さ」には様々な定義がありますが、著書『7つの習慣』などで有名なスティーブン・R・コヴィーによると、誠実な人は、「自分自身の定めた原則を裏切らない人」だそうです。
性格ってどう分析するの?
今回の研究で用いられた性格テストでは、「誠実さ」を測る項目として、「慎重さ」、「秩序性」、「良心性」などの6項目で判定しています。
誠実さについてもっと知る
1.「誠実な人」ってどんな人?
「誠実な人」といえば、「正直で嘘をつかない人」や「約束をきちんと守る人」など様々なイメージが浮かびますよね。
著書『7つの習慣』などで有名なスティーブン・R・コヴィーは、「誠実な人」の特徴として、以下のようなものを挙げています。
・一時の感情や衝動に流されない
・裏表がなく、誰に対しても態度が変わらない
・自分の非を素直に認め、心からの謝罪ができる
コヴィーによると、これらに共通している要素は「自分自身の定めた原則を裏切らない」ということだそうです。
誠実な人は、自分が大切にしている行動指針に常に従って行動します。そのため周囲の意見や一時の衝動に流されにくく、誰に対しても、どのような場面においても言動が変わりません。また、自分の保身に走ることもないため、心からの反省や謝罪をすることができます。そのため、周囲からは「公平な人」や「裏表のない人」、「正直な人」として信頼されるそうです。
それに対し、不誠実な人は自分の行動指針がしっかりしておらず、周囲からの評価を過度に気にする傾向があるようです。そのため、不利な状況になると自分の言動を正当化したり、周囲に流されて口先だけの言葉を並べてしまうことがあります。そのような人は、「二面性がある人」、「発言に一貫性が無い人」として周囲の信頼を失うことになるそうです。

2.性格ってどう分析するの!?
今回ご紹介する研究では、性格に関する「性格5因子」という考え方が用いられています。
「性格5因子」によると個人の性格は、誠実さ、外向性、協調性、経験への開放性、神経質傾向
という5つでおおまかに記述できると言われています。
この5つは「ビッグファイブ」などとも呼ばれ、様々な性格テストでも使用されています。
今回の研究で使用された性格テストでは、このうち「誠実さ」を測る項目として、
・自己効力感(Competence)
・秩序性(Order)
・良心性(Dutifulness)
・達成追求(Achievement Striving)
・自己鍛錬(Self-Discipline)
・慎重さ(Deliberation)
の6つが定義されています。
3.持っていると誠実さが低くなってしまう遺伝子があった!?
オランダのアムステルダム自由大学のMoor准教授らは上記の性格5因子のスコアと遺伝子との相関を調べる研究を行いました。
大規模な遺伝情報を用いたGWAS研究の結果、「誠実さ」と脳において発現するKATNAL2という遺伝子領域のrs2576037というSNPが関連していることが明らかにされました。
rs2576037というSNPにはTT,TC,CCの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・CCの遺伝型の人は「やや誠実なタイプ」
・TCの遺伝型の人は「やや誠実ではないタイプ」
・TTの遺伝型の人は「誠実ではないタイプ」
という遺伝的傾向を持っているということになります。
研究の詳しい内容を見る
オランダのアムステルダム自由大学のMoor准教授らによる研究チームは、17,375人のヨーロッパ人の遺伝型と性格5因子のスコアとの関連解析を行いました。
スコア測定には、性格診断テストNEO-FFIやNEO-PI-Rの「誠実さ:Conscientiousness」についてのスコアが使用されました。
大規模な遺伝情報を用いたGWAS研究の結果、「誠実さ」と脳において発現するKATNAL2という遺伝子領域のrs2576037というSNPが関連していることが明らかにされました。
研究の結果からは、rs2576037というSNPにおいて、「T」の遺伝型が含まれているほど誠実さが低くなるということが分かりました。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 誠実ではない
- 24.5%TT
- やや誠実ではない
- 50.0%TC
- やや誠実
- 25.5%CC
参考文献
Meta-analysis of genome-wide association studies for personality
Translating Personality Psychology to Help Personalize Preventive Medicine for Young Adult Patients
『7つの習慣-成功には原則があった!』スティーブン・R・コヴィー
【対象SNP】rs2576037