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昼寝の長さ
- 原語
- diurnal-inactivity
- 研究
- イギリス エクセター大学
この研究のふむふむポイント
ヒトは本来、昼寝を必要としている?
私たちの体内では様々な周期のリズムが刻まれており、体温や睡眠もこれらリズムの影響を受けています。1日の体温のリズムと睡眠には深い関わりがあり、体温が最高点から下降する際に眠気が発生します。そして、1日の体温の最高点付近こそ、眠気が襲ってくる昼寝のタイミングなのです。
昼寝の時間には要注意!
世界的にも、日本人の睡眠時間は短いと言われており、慢性的な睡眠不足の人は、肥満や糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病にかかりやすいことも明らかになっています。このような慢性的な睡眠不足の対策として「昼寝」が推奨されていますが、1時間以上の昼寝は、逆に脳梗塞や心筋梗塞といった心血管疾患リスクを高めるという報告もあるので、時間を守って昼寝を取ることが重要です。
昼寝の長さも遺伝型のタイプでわかる?
イギリスのエクセター大学の研究グループによると、rs7155227というSNPに「T」を持つ人は、「G」を持つ人よりも昼寝や日中の休息時間が長い傾向にあるそうです。
昼寝の長さについてもっと知る
ヒトは本来、昼寝を必要としている?
なぜ私たちは、朝になると目が覚め、お昼になるとお腹が空き、夜になると眠くなるのでしょうか?
私たちヒトをはじめとする生物の体内では様々な周期のリズムが刻まれており、睡眠や体温の変化、ホルモン分泌といった体内の基本的な機能が、これらリズムの影響を受けていると言われています(※1)。そして、このような生体リズムは、脳の視床下部という部位において、時計遺伝子と呼ばれる遺伝子によって刻まれていることがわかっています(※2)。
最も研究が進んでいる生体リズムは、約24時間の周期で変化する「サーカディアンリズム(概日リズム)」と呼ばれるもので、睡眠や体温の変化はこのリズムの影響を受けています。サーカディアンリズムについては「夜更かし傾向」の記事でもご紹介しているので、是非ご覧ください。
睡眠はサーカディアンリズムの他にも12時間周期、1.5時間周期の生体リズムの影響を受けているとも言われています。そして、午後の強い眠気や居眠り、つまり、昼寝の発生には12時間周期のリズムが関与していると言われています(※3)。
また、睡眠は1日の体温の変化とも関連があり、体温が最高点から下降する際に眠気が発生します。そして、体温が最高点付近から降下し始める時間というのは、昼寝のタイミングとほぼ一致するそうです(※3,4)。つまり、お昼過ぎに眠くなるのは、生体リズムからすれば、ごく当然のことなのですね。
そのほかにも様々な研究から、本来ヒトは昼寝と夜間睡眠の両方が必要であるにもかかわらず、学校や仕事といった社会的な制約によって、1回の夜間睡眠のみを余儀なくされていると考えられています。
昼寝の時間には要注意!
世界的に見ても、日本人の睡眠時間は短いと言われています。特に女性は、家事や育児の負担が大きいため、男性よりもさらに睡眠時間が短く、平日・週末を問わず慢性的な寝不足状態にあるそうです。また、慢性的な睡眠不足状態にある人は、意欲低下・記憶力減退といった精神機能の低下のほか、肥満や糖尿病、心筋梗塞といった生活習慣病にかかりやすいことも明らかになっています(※5)。
このような慢性的な睡眠不足や、日中に発生する眠気の対策として「昼寝」が推奨されています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針 2014」によると、仕事や生活上の都合で、夜間に必要な睡眠時間を確保できなかった場合、午後の早い時刻に30分以内の短い昼寝をすることで、午後の眠気による作業能率の改善に効果的とのことです(※6)。
一方で、日中に長い時間眠るような習慣は、昼夜の活動・休息のメリハリをなくすことにつながり、夜間の睡眠が浅く不安定になる原因になります(※6)。また、1時間以上の昼寝は、脳梗塞や心筋梗塞といった心血管疾患リスクを高めるという報告もあります(※7)。
以上のことから、きちんと時間を守って昼寝をすることが重要であるということがわかりますね。
昼寝の長さも遺伝型のタイプでわかる?
このように、生体リズムの影響を受けている昼寝のタイミングですが、この度、昼寝や日中の休息時間の長さには遺伝子が関与していることがわかりました。
イギリスのエクセター大学の研究グループによると、KCNH5遺伝子上にあるrs7155227というSNPに「T」を持つ人は「G」を持つ人よりも昼寝や日中の休息時間が長い傾向にあるとのことです(※8)。
rs7155227にはTT、TG、GGの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・TTの遺伝型を持つ人は「昼寝や日中の休息時間が長いタイプ」
・TGの遺伝型を持つ人は「昼寝や日中の休息時間がやや長いタイプ」
・GGの遺伝型を持つ人は「昼寝や日中の休息時間は長くないタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
イギリスのエクセター大学の研究グループは、英国バイオバンクに登録された85,670人のヨーロッパ人を対象に、最大7日間、加速度センサーを装着してもらい、生活リズムを測定しました。この加速度センサーでは、人間の身体の動作を元に活動量を計測し、身体が活動状態にあるか、あるいは休息状態にあるかを記録することができます。
加速度センサーによって測定した日中の非活動時間は、1日のうち、夜の睡眠時間以外で、座って本を読んだり、テレビを見たりといった状態を含まない、非常に活動性の低い状態を合計して算出されました。
統計処理した加速度計のデータと遺伝型との関連解析の結果、KCNH5遺伝子上にあるrs7155227というSNPと、昼寝や日中の休息時間に関連があることがわかりました(※8)。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 昼寝や日中の休息時間が長い
- 22.2%TT
- 昼寝や日中の休息時間がやや長い
- 49.8%TG
- 昼寝や日中の休息時間は長くない
- 28.0%GG