あなたの結果もわかる!
汗のかきやすさ
- 原語
- excessive-sweating
- 研究
- 日本 東京女子医科大学
この研究のふむふむポイント
なぜ、私たちは汗をかくの?
運動したり、辛い物を食べたり、あるいは極度の緊張から、日常生活で汗をかく場面はたくさんありますよね。その汗は主に3種類に分けられるってご存知ですか。
汗っかきになるかは3歳までに決まる?
汗腺は出生時にはほぼ成人と同じ数存在していますが、まだ未発達であり、乳幼児期の子供はうまく汗をかくことができません。汗をかくことができる汗腺の数は、出生後2-3年で決まります。その後、その数が変わることは生涯ありません。
汗のかきやすさも遺伝型のタイプでわかる?
東京女子医科大学を中心とした研究グループによる研究の結果、ABCC11という遺伝子にあるSNP rs6500380に「G」を持つ人は「A」を持つ人より汗をかきやすい傾向があることが分かりました。
汗のかきやすさについてもっと知る

なぜ、私たちは汗をかくの?
運動したり、辛い物を食べたり、あるいは極度の緊張から、日常生活で汗をかく場面はたくさんありますよね。
汗には主に3つの種類があります(※1)。
・温熱性発汗
暑いときや運動をしたときなど、体温が上昇したときに見られる発汗です。手のひらや足の裏を除く全身から発汗します。汗は蒸発する際に熱を奪うため、人は汗を出して体温調節を行っています。
・精神的発汗
緊張や不安などストレスを受けたときに主に手のひらや足の裏にかく汗のことです。「冷や汗」や「あぶら汗」はこの精神的発汗に分類されます。
・味覚性発汗
辛い物を食べたときなどに出る汗のことです。これは辛さによる刺激を口腔内の温度が上昇した、と脳が勘違いをすることにより発汗するといわれています。

汗っかきになるかは3歳までに決まる?
汗は汗腺から出てきますが、汗腺にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があり、私たちが言う「汗をかく」という時の汗はエクリン腺から分泌されます。このエクリン腺は、全身に膨大な数がありますが、そのすべてが汗を分泌しているわけではありません。汗を分泌している汗腺は能動汗腺、分泌していない汗腺は不能汗腺と呼ばれています。
汗腺は出生時にはほぼ成人と同じ数存在していますが、まだ未発達であり、乳幼児期の子供はうまく汗をかくことができません。不能汗腺の能動汗腺化は生まれた時から始まり、出生後2-3年で能動汗腺の数が決まります。その後、その数が変わることは生涯ありません。
この能動汗腺の数が決まる2-3年の間に、汗をたくさんかくような経験をした人は、能動汗腺の数も多くなり、汗をかきやすくなります。日本人は平均的に230-250万個の能動汗腺を持つといわれますが、寒い地域に住むロシア人は180万個程度、暑い地域に住む東南アジアの人は280万個程度能動汗腺があるとされています(※2)。
ただし、能動汗腺が多かったとしても、普段汗をかくような生活を送っていないと、上手に汗をかけなくなってしまいます。汗をかくことは、体温調節にとても重要です。十分に汗をかくことができないと、体内に熱がたまり熱中症のリスクも上昇します。適度に汗をかくような生活を心がけましょう。
汗のかきやすさも遺伝型のタイプでわかる?
さて、能動汗腺の数は乳幼児期に環境要因によって決まりますが、汗のかきやすさについて、遺伝的要因も関与しているようです。
東京女子医科大学を中心とした研究グループによる研究の結果、ABCC11という遺伝子にあるSNP rs6500380に「G」を持つ人は「A」を持つ人より汗をかきやすい傾向があることが分かりました(※3)。
rs6500380にはAA、AG、GGの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・AAの遺伝型を持つ人は「汗をかきにくいタイプ」
・AGの遺伝型を持つ人は「やや汗をかきやすいタイプ」
・GGの遺伝型を持つ人は「汗をかきやすいタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
東京女子医科大学を中心とした研究グループは、5628人の日本人女性の遺伝型と汗についてのアンケートの回答との関連解析を行いました。
その結果、ABCC11遺伝子のSNP、rs6500380と汗のかきやすさについて関連があることが分かりました。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 汗をかきにくい
- 74.0%AA
- やや汗をかきやすい
- 24.1%AG
- 汗をかきやすい
- 2.0%GG
参考文献
※1. 菅屋潤壹, 汗はすごい 体温、ストレス、生体のバランス戦略, ちくま新書
※2. Kuno Yasu, Human perspiration., Charles C Thomas publisher
【対象SNP】rs6500380