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数学の向き不向き
- 原語
- mathematics-ability
- 研究
- 中国 深圳市神経科学研究院
この研究のふむふむポイント
苦手な科目は「数学」?
学生時代の苦手科目は数学。数字を見ただけで嫌になっちゃって・・・という人もいらっしゃるのではないでしょうか。
数学が苦手かどうかに関わる遺伝子を発見
「数学」が得意か苦手かは単純な一つの能力で決まるわけではなく、複数の遺伝子との関連があると考えられます。今回、ゲノムワイド解析と呼ばれる方法を使って数学の試験の成績と関連する遺伝子の探索が行われました。
数学の向き不向きも遺伝型のタイプでわかる?
中国の深圳市神経科学研究院の研究グループによれば、SPOCK1に存在するSNPrs11743006に「A」を持つ人は、「C」を持つ人よりも数学が苦手な傾向にあるということです。
数学の向き不向きについてもっと知る
苦手な科目は「数学」?
今回のfumfumでは「数学」に関する遺伝子についてお届けします。
以前の『MYCODE fumfum』でも、「数学的思考力」についてお届けしましたが、すでにチェックしていただけましたか?
サイエンスや経済分野だけでなく、どんな場所にもコンピュータが当たり前に使われている現代においては、数字や計算は様々な産業や生活の基本にあると言っても過言ではないかもしれません。
しかし、学生時代の苦手科目はズバリ「数学」、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。中には数字を見るのも嫌!という方もいらっしゃるかもしれません。頑張って問題を解こうとして解けなかったという経験は、「どうせやってもできない」というような学習性無力感を引き起こしやすいとも言われています。この学習性無力感から、できるはずの問題もできなくなってしまうという負のサイクルに陥ってしまうのかもしれません。
そんな数学の得意・苦手は一体どのように決まるのでしょうか。数学と一言で言っても、計算の速さや図形を理解する能力、公式などの暗記力、文章問題では読解力など、少し考えてみても単純な能力ではなさそうです。
事実、子供の算数の能力がどのような要因で決まっているのかについて、空間認識能力や両親との関わりなど、様々な視点から研究が行われているのです。
数学が苦手かどうかに関わる遺伝子を発見
これまでに、数学の能力は遺伝子とも関連があることが知られていました。しかし、前述のように「数学」は単純な一つの能力で決まるわけではないため、ただ一つだけの遺伝子が原因となるわけではなく、複数の遺伝子の関連があると考えられます。
近年、ゲノムワイド解析と呼ばれる方法を使って、数学の能力に関わる遺伝子を探索する研究が行われてきました。この方法では、多くの研究参加者を集めて遺伝型と参加者の数学の試験の成績を比較して解析を行うことで、数学の成績に関連した遺伝子を探索しようとするものです。
今回中国の深圳市神経科学研究院の研究グループは、このゲノムワイド解析を用いて、中国人研究参加者の数学の試験の成績と関連する遺伝子の探索を行いました。その結果、SPOCK1と呼ばれる遺伝子上に存在する数個の遺伝子多型(SNPs)と、数学の試験の成績の間に関連があることを明らかにしました。
これまでの研究から、SPOCK1は脳の神経の発生や成長に関わっていると考えられています。この遺伝子が数学の能力にどのような役割を果たしているのかはまだわかっていませんが、人が数学を理解する仕組みを明らかにする手掛かりになるかもしれません。
数学の向き不向きも遺伝型のタイプでわかる?
深圳市神経科学研究院の研究グループは、rs11743006というSNPに「A」を持つ人のほうが、「C」を持つ人よりも、数学が苦手な傾向にあることを発表しました。
rs11743006にはAA、AC、CCの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・AAの遺伝型を持つ人は「数学が苦手なタイプ」
・ACの遺伝型を持つ人は「数学がやや苦手なタイプ」
・CCの遺伝型を持つ人は「数学が得意なタイプ」
という遺伝的傾向を持っていると言えます。
研究の詳しい内容を見る
深圳市神経科学研究院の研究グループは、合計1,622人の健康な7歳から13歳の中国人の遺伝型と数学のテストのスコアとの関連解析を行いました。
その結果、SPOCK1遺伝子上にあるSNP(rs11743006)と数学のテストのスコアに関連があることが明らかになりました。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 数学が苦手
- 2.7%AA
- 数学がやや苦手
- 27.5%AC
- 数学が得意
- 70.1%CC
参考文献
杉本 祐一, 数学嫌いの改善を目指した自己効力感向上に関する支援の研究. 2012, 上越数学教育研究.
【対象SNP】rs11743006