肌のキメの細かさ

　肌のキメの細かさは紫外線で失われる？

　赤ちゃんのようなキメの細かい肌って憧れますよね。肌のキメは、皮膚表面の凹凸のことで、皮丘と皮溝で構成されています。肌表面のマイクロ画像を見ると、キメの細かい肌は、皮丘がふっくらと盛り上がり、皮溝がくっきりしています。一方、キメの粗い肌は、皮丘のふくらみがなく平らで、皮溝が浅くなります。

　キメの細かさは、保湿や年齢によるものと思われがちですが、紫外線の影響も大きいことをご存知ですか？

　私達の肌は、紫外線を浴びることで皮膚の細胞のDNAに傷がつきます。通常は、DNAを修復するメカニズムが働き、紫外線による損傷から身を守ります。しかし多量の紫外線を浴びることで、DNAの修復が追いつかなくなったり、その損傷が大き過ぎたりすると、シワやたるみを引き起こす一因となります。また、DNAの修復に間違いが起こると皮膚がんの原因になるとも考えられています。

　紫外線は、皮膚の細胞のDNAに損傷を与える他に、皮膚の張りを保つための弾性線維を破壊し、肌のキメを整える能力を悪化させます。そのため肌のキメを保つには、日焼け止めや、日焼け防止のための衣類を着るなどの紫外線対策が重要です。

キメの細かさって遺伝子で決まるの？

　様々な肌トラブルの原因となる紫外線ですが、紫外線の感受性には個人差があり、遺伝的に影響を受けやすい人がいることが知られています。

　オーストラリアのQIMRバーグホーファー医学研究所をはじめとする研究グループは、紫外線によるシミやそばかすの出来やすさと関連するといわれるメラノコルチン１受容体（MC1R）遺伝子が、肌のキメの細かさにも関連するということを発見しました。

　MC1R遺伝子は、肌や髪の色を調整している、メラニンに関係しています。メラニンには、ユーメラニンとフェオメラニンの２種類があり、肌や髪の色の濃さはユーメラニンが、黄色みや赤みはフェオメラニンが決定しています。例えば、黒髪の人と明るめの茶髪の人を比べると、明るめの茶髪の人は黒髪の人よりもユーメラニンの量が少なくなります。またフェオメラニンが多いと、金髪や赤毛、ブロンズ色となります。
　ユーメラニンとフェオメラニンのどちらを生成するかを導いているのが、MC1Rなのです。

「肌のキメの細かさ」遺伝的には...？

　オーストラリアのQIMRバーグホーファー医学研究所をはじめとする研究グループは、MC1Rに存在するrs12924572というSNPについて比較をしました。
　その結果、rs12924572というSNPの遺伝型で「G」を持つ人のほうが、「A」を持つ人よりも、肌のキメが細かい傾向にあることが分かりました。
　rs12924572というSNPには、GG,GA,AAの３つの遺伝型があります。日本人平均と比べると

・GGの遺伝子を持つ人は「肌のキメが細かいタイプ」
・GAの遺伝子を持つ人は「肌のキメがやや粗いタイプ」
・AAの遺伝子を持つ人は「肌のキメが粗いタイプ」

という遺伝的傾向を持っていると言えます。

※2019/5/28：結果表記の一部表現を訂正いたしました。