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短距離選手に多い遺伝型
- 原語
- sprinter
- 研究
- 日本 東京都健康長寿医療センター
この研究のふむふむポイント
スポーツ選手に特徴的な遺伝型ってあるの!?
スポーツにおいても、遺伝子が影響している可能性が多くの研究によって明らかにされようとしています。今回ご紹介するのは、短距離系のスポーツ選手に特徴的だと言われている遺伝型です。
短距離系のスポーツに有利な遺伝型があった!
どうやら短距離系のスポーツに有利だと言われている遺伝型は、筋肉の発達と関係があるようです。また、様々な研究において、その遺伝型が短距離選手に多いことも明らかになっています。
日本人の場合は・・・?
東京都健康長寿医療センターを中心とした研究チームによると、日本人の短距離選手においても、その短距離スポーツに有利と言われている遺伝型が多く見られたそうです。
短距離選手に多い遺伝型についてもっと知る
スポーツに有利な遺伝子ってあるの?
「一生懸命筋トレしても、なかなか筋肉が大きくならない」「自分は昔から持久走よりも短距離走のほうが得意だった」なんて思ったこと、ありませんか?もしかしたらそれには、遺伝子が関わっているのかもしれません。
様々なスポーツにおいて、遺伝的に有利とされるような特徴が研究によって明らかにされようとしています。今回ご紹介するのは、短距離系のスポーツに有利だと言われている遺伝型です。
短距離系のスポーツに遺伝的に向いているかどうかには、筋組成に関わるACTN3という遺伝子の、ある一部の配列の違いが影響を与えていることが報告されています。ACTN3遺伝子のある一部の塩基配列がCかTになるかによって、短距離系のスポーツに向いているかが決まるというのです。CのタイプのACTN3遺伝子を1つでももつと、速筋繊維に発現されるα-アクチニン-3というたんぱく質が作られるため、速筋が発達しやすいことが分かっています。逆に、Tの遺伝型のみをもつ人では、α-アクチニン-3が作られないため、比較的速筋が発達しにくいそうです。
瞬間的に大きなパワーを出すことが出来る筋肉の種類「速筋」は、短距離系のスポーツには欠かせない筋肉です。そのため遺伝型にCを持っていると、短距離系のスポーツに有利な筋組成を作りやすいと言われています。

Cの遺伝子は短距離選手に多かった!
実際に、Cの遺伝型のACTN3遺伝子を持っている人は、短距離系の種目の成績が良かったという研究結果が多く報告されています。
例えば2003年に、オーストラリアでこんな研究が行われました。429人の白人の選手集団の遺伝子を解析した結果、短距離またはパワー系の種目のオーストラリア代表男性32人のうち、全員がCCまたはCTの遺伝型を持っていたそうです。
逆に持久系のアスリートには、TTの遺伝型を持っている人の割合が比較的高かったそうです。
日本人の場合にも、遺伝型との関連があった!
東京都健康長寿医療センターを中心とした研究グループは、日本人の陸上選手と一般の人を対象にして、ACTN3の遺伝型を調べました。
その結果、日本人においても世界大会で活躍している短距離選手は、一般の人に比べてCの遺伝型を持っている確率が高いことが分かりました。
研究の詳しい内容を見る
短距離走のタイムとACTN3の遺伝型との関連を調べた研究は多く行われてきましたが、アジアの選手集団を対象とした研究は活発には行われていなかったそうです。 東京都健康長寿医療センターを中心とした研究グループは、134人の短距離・パワー系の選手と649人の一般の人を対象に、先ほどご紹介した筋組成に関わるACTN3の遺伝型を調べました。
その結果、国際レベルの短距離選手は、選手ではない人たちと比べてCをもつ遺伝型の人の割合が高いことが分かりました。一方、TTの遺伝型は、選手ではない人たちに比べて、短距離選手が持っている確率は低いことが分かりました。
さらに、短距離選手の100m走のベストタイムを遺伝型別に比較したところ、Cをもつ遺伝型の人はTTの遺伝型をもつ人よりも、ベストタイムが早いことが明らかになりました。
(MYCODE fumfumでは、論文におけるRRの遺伝型をCC、RXの遺伝型をCT、XXの遺伝型をTTとしています)
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- 短距離選手に少ない
- 28.2%TT
- 短距離選手に多い
- 71.8%CT&CC
本研究では、遺伝型に基づき、2種類のタイプに区分されます。
TTは「短距離選手に少ないタイプ」、CTとCCはともに「短距離選手に多いタイプ」に区分されます。