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気分の落ち込み
- 原語
- trait-depression
- 研究
- 米国 アメリカ国立衛生研究所(NIH)
この研究のふむふむポイント
「落ち込みやすさ」にも個人差が・・・
「気分の落ち込み」は、人間に生じるごく自然な反応です。とはいえ、同じ経験をしても、全く気にもならないという人もいれば、深く落ち込んでしまう人もいます。
「落ち込みやすい人」ってどんな人?
研究に使用された「NEO-PI-R」という性格テストによると、落ち込みやすい人とは、罪悪感や悲しみ、絶望感、孤独感を比較的感じることが多い人だとされています。「繊細」とも言えるのかもしれませんね。
落ち込みやすさの個人差に、遺伝子が関係!
アメリカ国立衛生研究所の研究グループによって、落ち込みやすさの個人差には、遺伝型が関係していることが明らかになりました。
気分の落ち込みについてもっと知る

「落ち込みやすさ」にも個人差がある
大きな課題に直面したとき、大失敗をしてしまったとき、誰でも気分の落ち込みを経験します。「気分の落ち込み」は、社会生活を送る中で、人間に生じるごく自然な反応なのです。
とはいえ、些細な出来事なら全く気にならないという人もいれば、すぐに落ち込んでしまう人もいます。このような個人差には、どうやら遺伝も関係しているようなのです。
ちなみに、「打たれ強さ」の記事では、ストレスを感じた後の立ち直り具合と遺伝子との関係をご紹介しましたが、今回ご紹介するのは、「そもそも、ストレスをストレスとして感じやすいのか」と遺伝子との関係です。

落ち込みやすさ、どのように測定するの?
今回ご紹介する研究では、「誠実さ」や「協調性」の記事でもご紹介した、性格に関する「性格5因子」という考え方が用いられています。
「性格5因子」によると個人の性格は、誠実さ、外向性、協調性、経験への開放性、神経質傾向という5つでおおまかに記述できると言われています。
この5つは「ビックファイブ」などと呼ばれ、それぞれがさらに細かい項目に分かれています。
今回ご紹介する「気分の落ち込み(Depression)」は、「神経質傾向」を測定する項目のうちの1つです。性格テストにおけるこのスコアの高低で、気分の落ち込みやすさが測定されています。
このスコアが高い人は、落ち込みやすい人。具体的には、罪悪感や悲しみ、絶望感、孤独感を比較的感じやすいとされています。
逆に、このスコアが低い人は、落ち込みにくい人。これらの感情を経験することが比較的少ないとされています。よく言えばポジティブ、悪く言えば「図太い」のかも!?
ちなみに、「神経質傾向」を測定する項目として、気分の落ち込みの他には不安、敵意、自意識、衝動性、傷つきやすさがあります。
落ち込みやすさの個人差に、遺伝子が関係!
アメリカ国立衛生研究所の研究グループによる研究の結果、RORA遺伝子に位置するrs12912233というSNPに「T」を持っているほど、性格検査の「気分の落ち込み」に関するスコアが高い、つまり気分が比較的落ち込みやすい傾向があると分かりました。
rs12912233にはTT,TC,CCの遺伝型がありますが、日本人平均と比べると
・TTの遺伝型を持つ人は、落ち込みやすいタイプ
・TCの遺伝型を持つ人は、やや落ち込みやすいタイプ
・CCの遺伝型を持つ人は、やや落ち込みにくいタイプ
という遺伝的傾向を持っているといえます。
研究の詳しい内容を見る
アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究グループは、4811人のヨーロッパ人の遺伝型と「NEO-PI-R人格検査」という性格テストの「Depression」項目のスコアの関連解析を行いました。
その結果、概日リズムに関わるRORA遺伝子に位置する、rs12912233というSNPが関連していることがわかりました。
対象SNPの遺伝型に基づき、以下のタイプに区分されます。
- やや落ち込みにくい
- 58.8%CC
- やや落ち込みやすい
- 35.7%TC
- 落ち込みやすい
- 5.4%TT