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どんながんも早期発見が大切!
小児がんの治療法をめぐる研究

2015年06月17日 09時00分

 小児がんのひとつに、腎臓に発生するウィルムス腫瘍と呼ばれる悪性腫瘍があります。このウィルムス腫瘍を経験した人の中で、胸部に放射線治療した人の乳がん発生率が高くなっていることが明らかにされました。


Wilms tumor radiotherapy article main

がんは早期発見・早期治療につなげることが大切です。(写真:Shutterstock.com)

 ウィルムス腫瘍と呼ばれる子供の病気を知っていますか?米国の研究グループにより、ウィルムス腫瘍を発症した人で放射線治療をした人は、治療後に乳がんのリスクが高まるとした研究結果がCancer誌で報告されました。

ウィルムス腫瘍とは

 ウィルムス腫瘍は、小児の腎臓に発生する悪性腫瘍で、発症するのは多くの場合は5歳未満の小児と言われています。

 ウィルムス腫瘍になると外科的手術療法,化学療法が行われますが、腫瘍が腎臓を越えて広がったか、手術で完全に取り除くことができない場合は、放射線照射による治療が行われます。

 現在の治療技術では、転移がない場合のウィルムス腫瘍全体の治癒率は90%を超えているそうですが、放射線治療に関しては賛否両論あり、その後の乳がんを発症しやすくなるのではないか、とも言われているのです。

治療による乳がんリスクへの影響

 研究グループは、米国で1969年から1995年までにウィルムス腫瘍を治療した2492人の女性を対象として、2013年中頃までのデータを集めました。さらに、肺転移のために肺に放射線を照射したグループ、腹部に放射線を照射したグループ、放射線治療をしていないグループにわけて乳がんの発症リスクを分析しました。

 その結果、乳がんを発症した割合は、胸部に放射線治療を受けた女性で最も高いことがわかりました(※)。

 個々の治療の状況においては放射線治療を避けられない場合もあり、とても難しい結果のように思えます。

 しかしこのような研究は、小児がんの治療において、今後どのような治療法が最適なのかを考える上で重要なデータを提供することになるでしょう。

 いずれにせよ、どのようながんも早期発見が重要です。風邪がいつまでも治らなかったり、顔色が悪かったり、いつもと違う気になる症状がある場合には、早めにかかりつけのお医者さんに相談するという習慣が大切かもしれません。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
Lange JM, Breast cancer in female survivors of Wilms tumor: a report from the national Wilms tumor late effects study., Cancer.

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