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「バブー」「まんま」「わんわん」・・・赤ちゃんが少しずつ言葉を覚える仕組みとは?

公開日:2015年1月26日
更新日:2018年6月18日

「バブー」などの意味のない単語から、「まんま」など意味のある単語、さらに「わんわんばいばい」など2語以上からなる言葉へと、赤ちゃんの言語能力は少しずつ発達します。この仕組みの一端が、遺伝子研究により明らかになりそうです。


赤ちゃんはどのように大人になっていくのでしょうか?(画像 Kenny Louie/クリエイティブ・コモンズ 表示 2.0 一般)

赤ちゃんが話しはじめるまで

生まれたときは何もわからない赤ちゃんは、どのようなしくみで言葉を話せるようになるのでしょうか。今回、この謎の手がかりとなる研究成果が報告されたのでお伝えします。

赤ちゃんが生まれてすぐの頃に口から出す音は「ううー」とかほとんど意味をもたない言葉だといわれています。その後、約10~15カ月で「まんま」「ぶーぶー」など意味のある単語を話しはじめ、個人差はありますが24カ月頃にかけて、「わんわんばいばい」などの2語を使って話すことができる能力が現れます。

赤ちゃんが単語を話しはじめる能力に関わる遺伝子とは

過去の双子を使った研究から、「わんわんばいばい」など2語を使って話すという発達能力については、遺伝の影響が強いことが証明されていましたが、どのような遺伝子がその能力に関連しているのかははっきりとわかっていませんでした。

そこで研究グループは、ヨーロッパ人の生後15~30カ月の赤ちゃん約1万9千人から得た遺伝情報から、言葉の発達能力に関係がありそうな遺伝子を探しました。その結果、2語を話す時期と関連する遺伝子を見つけることはできなかったのですが、「まんま」「ぶーぶー」など意味のある単語を話す時期について、関連する遺伝子が発見されたそうです。

赤ちゃんの言語取得に関わる遺伝子は、神経発達に重要な遺伝子だった

新しく発見された遺伝子は「ROBO2」と呼ばれる神経の発達に重要な役割をもつ事で知られる遺伝子でした。今回の研究結果をさらに進めることで、赤ちゃんが言語を取得する仕組みが明らかになるかもしれません。また、難読症など言語獲得に関する病気についても、適切な治療法が開発される事が期待されます。

赤ちゃんがどのように大人に近づいていくのかはまだまだ研究段階です。これからどんなことが明らかになっていくのか、楽しみですね。


参考文献

St Pourcain B et al. Common variation near ROBO2 is associated with expressive vocabulary in infancy.
Nat Commun. 2014 Sep 16;5:4831. doi: 10.1038/ncomms5831.