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川崎病を知っていますか?子供の病を救う治療の有効性と限界を知る研究

2015年04月18日 09時00分

川崎病におけるガンマグロブリン療法の治療効果について研究が行われました(写真:Shutterstock.com)

原因不明の子供の病気、川崎病

 川崎病と呼ばれる子供の病気を知っていますか?川崎病の名前は発見者である川崎富作医師の名前からつけられ、小児急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群とも呼ばれます。原因は不明で、全身の血管が炎症を起こし、発熱、発疹、動脈瘤(どうみゃくりゅう、血管のなかにできるこぶのようなもの)ができるなど、様々な症状を引き起こします。

 しかし、軽度の場合は適切な治療が行われれば、数日熱がでるのみで、多くの場合治癒するといわれています。しかし重症な場合、心臓の血管である冠動脈に瘤ができて後遺症となることがあり、油断することはできない病気です。

ガンマグロブリン療法とは

 この川崎病には、ガンマグロブリン療法と呼ばれる治療法がとられます。免疫とよばれる、細菌やウィルスと戦うための抗体をつかったお薬を、静脈へ点滴で投与します。

 これまでの調査により、この治療法で川崎病の初期段階にできる冠動脈瘤を全体の1割から2割程度に抑えることができるということがわかっています。

 一方で、ガンマグロブリン療法が川崎病の後期の心臓の動脈瘤に対してどれほどの効果を上げているのかは、あまりはっきりしていませんでした。

記録からガンマグロブリン療法の有効性を調査

 台湾の研究グループは、2015年1月、このガンマグロブリン治療について調査した結果を報告しました。

 研究グループは、1987年から2012年に三次医療センターという医療機関で川崎病のガンマグロブリン治療を受けた1073人について、調査を行いました。

初期の1カ月は非常に有効、しかし長期間ではあまり改善しない

 その結果、発症したばかりの発熱期には約4割の子供が冠動脈に異常を起こしていました。その後、多くはガンマグロブリン治療により改善したものの、1カ月たっても約2割には動脈瘤が残ってしまったということがわかりました(※)。

 これらの残った冠動脈瘤の大きさで、大、中、小に分類してさらに追跡調査したところ、大きな冠動脈瘤については、ほとんど全てが消えずに残ってしまうことがわかりました。中程度は半分強、小さいものは1割が残ったということです。

 川崎病の治療1カ月後に大きな動脈瘤が存在していると、その後の継続したガンマグロブリン治療はあまり有効ではないということがわかりました。

 今回の結果は残念なようですが、治療法の限界を知ることで、潔く別の治療法に切り替えたり、体に負担のかかる注射などをやめるタイミングを知るために、大切な研究だといえます。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Seth A, Acute and late coronary outcomes in 1073 patients with Kawasaki disease with and without intravenous γ-immunoglobulin therapy., Arch Dis Child.


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