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病気・医療

組み合わせて大腸がんを予防!?食物繊維の多い食品とコーヒーをご一緒にどうぞ

公開日:2015年3月16日
更新日:2020年10月13日

大腸がんの成長を弱めるには組み合わせが重要!?(写真:Shutterstock.com)

 大腸がんには遺伝性大腸がんと遺伝性のない散発性大腸がんがあり、約80%が散発性、20%が遺伝性といわれています。

 米国にあるザ・コモンウェルス・メディカル大学の研究グループは、ヒトの腸内で食物繊維が分解・発酵するときに作られる酪酸やコーヒーエキス等が散発性大腸がんの予防に有効である可能性があると報告しました。

着目したのは細胞の自殺のシステム

 散発性大腸がんの腫瘍の発生・進展には、「WNT/ベータカテニン経路」と呼ばれる経路の異常が深く関わっています。これまでの研究で、この異常がある場合に「ヒストンデアセチラーゼ」という酵素の働きを抑えると、大腸がん細胞では「アポトーシス」と呼ばれる自殺のシステムが誘導されることが明らかになっていました。

 研究グループは、大腸がん細胞を効果的にに死なせるための方法を探索しました。具体的には、「ヒストンデアセチラーゼ」の働きを抑える阻害剤や、がん細胞の生存をサポートするシステムを抑制する薬剤を使って実験を行いました。

 その結果、これらの薬を組み合わせて処理すると、大腸がん細胞が自発的に死ぬ確率が高くなりました(※)。

食物繊維が豊富な食品とコーヒーやプロポリスを一緒に食べる!?

 研究グループは、今回の戦略は大腸がんの予防にも応用することができると指摘しています。

 食事からとれるヒストンデアセチラーゼ阻害剤としては「酪酸塩」があるそうです。「酪酸塩」は、食物繊維が大腸に到達し乳酸菌等の腸内細菌によって分解・発酵されることで作られます。

 また、がん細胞の生存システムの抑制に関わると考えられる食品には、例えば、プロポリスやコーヒーエキスなどがあり、これらを酪酸塩とあわせて摂取することにより、自発的に死ぬがん細胞の割合が増えるのではないかとしています。

 食物繊維が豊富な食品とコーヒーを組み合わせた食事は、大腸がんの成長を弱める効果が期待できるかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Bordonaro M, Comprehensive suppression of all apoptosis-induced proliferation pathways as a proposed approach to colorectal cancer prevention and therapy., PLoS One.


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