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あなたは知っている?高血圧の「上」と「下」~血圧と病気の関係~

「上の血圧」と「下の血圧」
健康診断で血圧を測ると「124の78」など、二つの値が出されるのは、見たことがありますよね。この二つの値を「上」や「下」といいますが、一体何のことだか知っていますか?
心臓が収縮して血液を送り出すときに血管にかかる圧力を「上の血圧」(収縮期血圧)、逆に、心臓が拡張して血液を溜めているときに血管にかかっている圧力を「下の血圧」(拡張期血圧)といいます。日本高血圧治療ガイドラインでは、上が140mmHg以上または下が90mmHg以上だと高血圧とされています。
12種類の心血管疾患との関連を調べた調査
2014年、イギリスのロンドン大学を中心とした研究グループが、この収縮期血圧及び拡張期血圧が、12種類の心血管疾患とどのような関係をもつのかについて報告しました。
「上」の高血圧と「下」の高血圧は違う!
研究グループは、1997~2010年の13年間にわたる125万人の電子カルテ情報を基に調査を行いました。
その結果、調査した12種類の心血管疾患においては、「上」の血圧である収縮期血圧の意義が大きく、狭心症や心筋梗塞、心不全、脳内出血などの多くの病気のリスクと関連していることがわかりました(※)。一方、12種類の中で「下」の血圧拡張期血圧と大きく関連していたのは、腹部大動脈瘤だけでした。
狭心症は、心臓を取り巻く「冠動脈」の内側が狭くなることで、心臓に酸素や栄養が送りにくくなる病気で、心筋梗塞は狭くなった冠動脈が血栓などで完全に塞がってしまった状態です。腹部大動脈瘤は大事な血管「大動脈」がお腹の辺りで詰まってこぶ状に膨らんでしまう病気。どれも危険な病気です。
高血圧はどのくらいリスクを上げるのか
研究では、高血圧が心臓や血管の病気になるリスクを明らかに上げることが改めて確認されました。
30歳で高血圧の人は、一生のうちに心臓血管系の病気にかかる確率が正常な人の1.2倍以上で、さらに発症時期も平均5年早まることが示されました。
ストレスやたばこが高血圧の原因となることは良く知られています。加えて、寒い時期には特に気をつけたいのが「入浴」。熱いお風呂での入浴は、血圧を急に高くする危険性があるので要注意です。浴室の温度を20℃くらいに保ち、38~40℃のぬるめのお風呂にゆっくりつかるのが、リラックスにもつながり、高血圧予防にもなるようですよ。
日々の生活から、血圧には気をつけていきたいですね!
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。