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【認定遺伝カウンセラーコラム】貧血の原因は赤血球の形状!?重症化することもある貧血「サラセミア」について知ろう

2019年07月24日 09時00分

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赤血球の形状が貧血に関係しているってご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)

「サラセミア」とはどんな病気?

 サラセミアは、遺伝的に赤血球の形状が変化してしまう病気です。日本人ではβサラセミアは1,000人に1人程度と言われており(※1)、軽度の場合は軽い貧血症状程度しか現れないため、自分がサラセミアであることに気が付かない場合も多いようです。

 健康な人の赤血球は、中にくぼみのある円盤状をしているのに対し、サラセミアを発症している人の場合はアーチェリーやダーツの的(標的)のような標的赤血球が出現します(図)。

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図 健康な人(左)とサラセミア患者(右)の血液の顕微鏡写真。矢印が標的赤血球。

 また、形ばかりでなく大きさも小さくなり、小球性貧血に分類されます。重症型では溶血(赤血球が壊されること)を起こすことから、溶血性貧血に分類されることもあります。

αサラセミアとβサラセミアの違いは?遺伝するの?

 赤血球の主な働きは全身に酸素を供給することです。この酸素の運搬に重要な役割を果たすのがヘモグロビン(血色素)です。ヘモグロビンの構造はヘムと呼ばれる色素タンパク質と、グロビンというアミノ酸が長く連なったペプチド鎖から成ります。

 このグロビンを構成するアミノ酸に遺伝子レベルの変化が生じると、本来とは異なるアミノ酸が生成され、その結果十分に酸素が供給できなくなります。

 グロビンにはα鎖と非α鎖があり、非α鎖にはβ鎖、δ鎖、γ鎖の3種類があります。健常成人ではヘモグロビンA(HbA)というタイプが9割以上を占め、この場合グロビン鎖はα鎖が2本、β鎖が2本のα2β2という構造をとります。このβ鎖を構成するアミノ酸に変化をきたした状態がβサラセミアです。また、α鎖のアミノ酸に変化が生じた場合をαサラセミアといいます。

 αサラセミア、βサラセミアのいずれもヘモグロビンの分子構造が変わってしまうことにより、酸素が運ばれにくくなります。αサラセミアは軽症で気づかれないことも多いのに比べ、βサラセミアは何らかの血液所見に異常を認めます。

 ヘモグロビンの構造異常によって赤血球は溶血しやすくなってしまうため、赤血球数が減少することでさらに酸素の供給が行われにくくなります。

 この疾患は常染色体優性遺伝形式をとります。すなわち、両親のいずれかから変異を受け継ぐと発症しますが、これをヘテロ接合体とよび貧血は軽症です。しかしながら両親のいずれもが変異を持っていて、その変異を両方とも受け継いだ場合、これをホモ接合体または複合ヘテロ接合体とよび、貧血は重症となります。

 サラセミアの多くは軽症型であり、溶血の症状を見ることは少なく治療の必要はありません。一方、重症型では継続的に輸血などの治療が行われますが、根本的な治療法としては骨髄移植が必要となります(※2)。

 いかがでしたか、サラセミアについてお分かりいただけたでしょうか。

 MYCODEではサラセミアの中でも、βサラセミアの重症化するリスクを調べることができます。ここでは疾患のかかりやすさ(発症リスク)ではないことに注意する必要があります。

執筆者
認定遺伝カウンセラー 藤田和博
プロフィール:昭和大学藤が丘病院での先天異常、血液腫瘍の遺伝子・染色体検査の経験を生かし、現在は大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科教授として臨床検査学教育と研究に従事。

参考文献
※1. 浅野 茂隆, 三輪血液病学, 文光堂
※2. 小児慢性特定疾病情報センター,「15. サラセミア」(参照年月日:2019年7月17日)

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