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乳がん検査「マンモグラフィ」の効果に疑問視?スイス医療委員会研究グループの調査結果

乳がん検診のマンモグラフィ、否定的な意見もあるようです(写真:Shutterstock.com)
女性のがんで最も多い乳がん、早期発見が重要
日本では乳がんと診断される女性は年々増えています。女性では1999年から胃がんを抜いて、かかる人の数が1位となりました。しかし、医学の進歩により、乳がんは今や、発見が早ければ助かる病気となっています。
とにかく早期発見に限る、というわけですが、そのためにはどうしたら良いのでしょうか?
実は、月に1度のセルフチェックはかなり有効といわれています。やり方は、病院のホームページなどに書いてありますので、気になる方はチェックしてみてください。しこりかな?と思うようなものが手に触れたら、ためらわずに病院へ行きましょう。
もちろん、セルフチェックに加え、定期的なの乳がん検診もとても大切です。セルフチェックでは気づけないがんを早期発見できるからです。検診には視診、触診、超音波検診、マンモグラフィなどがあります。
乳がん検診の基本、マンモグラフィに関する研究
マンモグラフィは、乳房専用のレントゲン検査です。やったことがある人はわかるのですが、板で乳房をギュウギュウ挟んで薄くして撮影するので、結構痛い検査です。しかし、初期のがんの発見に優れており、検診での死亡率減少が唯一認められている検査手法であることから世界中の乳がん検診で採用されています。
しかし2014年、スイス医療委員会の研究グループが、思いがけない報告をしました。
「マンモグラフィ検診の導入によって亡くなる人の数はあまり減っていないから、この検診はやめたほうがよい」と言うのです。がんでない人をがんと疑って、手術や放射線治療、化学療法などを施してしまうようなデメリットを考慮したほうがよいとのことです。研究グループは、これまで世界で60万人以上の女性を対象として報告されてきた10報以上の研究結果を総合的に検証し、今回このような結論に達したと伝えています(※)。
スイス医療委員会では、マンモグラフィをやるかどうか、受ける女性に決めてもらうとして、検診として健康な人も含めて実施することに対して、このような報告を出したとしています。
一方でマンモグラフィに代わる乳がん検診はまだない
しかしその一方で、まだマンモグラフィよりも有効性がある乳がん検診は確立していないのが現状です。マンモグラフィには一定の有効性がある一方で、今回の報告のような限界もあり、より精度の高い検診のための研究の継続が求められています。
日本でも、40歳以上でマンモグラフィによる住民検診が隔年で行われています。乳がんをいち早く見つけるために、検診を受けるのはもちろん、検診を受けているから大丈夫!と安心せず、少しでも不安なことがあれば専門医に相談することが大切なのかもしれません。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。