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女子の夜遊びはホドホドに!夜は電気消して早く寝ましょう
女性のがんで最も多いとされる乳がん。そんな乳がんのリスクは、夜に受ける光の強さに応じて高まるということがアメリカの研究チームによって報告されました。一体どういうことなのでしょうか?

都会の夜、きれいな夜景も女性にとっては体に毒!?(写真:Shutterstock.com)
近年、乳がんにかかる人は急増しているといわれています。今や日本人女性の16人に1人はかかると言われている乳がん。乳がんのリスクを高めるものとして、食生活の欧米化、喫煙、飲酒、出産年齢の高齢化などが知られています。しかし今回、新たな要因がわかってきたのです。夜間に明るい場所にいる若い女性は乳がんのリスクが3割程度も高まる可能性があるという報告がありました。
夜間に光を浴びたネズミは乳がんに
米カリフォルニアがん予防研究所のスーザン・ハーレー氏らの研究グループが、2014年9月号の疫学国際誌エピデミオロジーでこの研究について報告しています。
これまでの研究で、夜間に光を浴びることで1日のリズムが崩れると、ネズミなどで乳がんを引き起こすとがわかっていました。しかし、人間が夜間に光を浴びることが乳がんの原因になるのかについては、まだ分かっていませんでした。
乳がんになったことがない11万人を対象に調査
研究グループは、乳がんになったことがない米国人女性およそ11万人を対象として、夜間の室内光と屋外光が乳がんリスクとどのように関係しているかを検証したのです。
夜間の室内光は、睡眠時の夜間照明のことで、睡眠習慣に関するアンケートデータから推定しました。夜間の屋外光とは、米防衛気象衛星プログラムから入手した画像データをもとに推定しました。
生理のある女性のほうがリスクが高い
1995年から2010年の16年間に、被験者11万人のうち、浸潤性乳がんにかかった人は5095人でした。複数の要因を総合的に解析して、夜間の光と乳がんリスクの関係を計算したところ、夜間に屋外光を浴びる量が最も高いエリアに住む女性は、乳がんリスクが約1割高いことが分かったのです(※)。
さらに、このリスクは生理のある女性では約3割も高くなっていて、更年期以降の女性ではあまり関係が見られなかったそうです。
研究グループは今後、屋内と屋外の光を正確に定量した詳細な研究が必要だと言っていますが、若い女性は特に、夜間に光を浴びすぎないように気をつけたほうが良いのかもしれません。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。
参考文献
※ Hurley S, Light at night and breast cancer risk among California teachers., Epidemiology.