• 抗がん剤
  • がん
  • 副作用
病気・医療

抗がん剤の副作用軽減に新しい方法
大豆油などを乳化した栄養補給剤が効く

2015年12月10日 11時00分

既に医療現場で使われている栄養剤で、抗がん剤の副作用を軽くするための新しい方法が有効になるかもしれません。


Reduce side effects article main

抗がん剤の副作用を軽くするための新しい方法とは?(写真:Shutterstock.com)

抗がん剤の副作用を軽減する方法とは

 米国カーネギー・メロン大学を含む研究グループが、有力科学誌ネイチャー誌の姉妹誌で2015年6月に報告した内容によると、抗がん剤の副作用を軽くするために新しい方法が有効になるかもしれません。

 研究グループが注目しているのは「プラチナ製剤」と呼ばれるタイプの抗がん剤です。文字通り、プラチナを使った薬です。

 プラチナには細胞分裂を邪魔する性質があり、この性質を利用しています。35年以上にわたって広く使われ、さまざまな種類があります。ただし、腎臓へのダメージという副作用があります。

 薬の効果を最大限引き出すためには、がん細胞へ直接届ける必要があります。様々な方法で直接届くように投薬しますが、それでもがん細胞に届くのはわずか1~10%となっています。残りは体に備わる免疫機能ゆえに、肝臓と脾臓に送られてしまいます。

 肝臓と脾臓に集まると、がんの治療には利用できなくなり、むしろ先に述べた副作用が気になります。

 研究グループは、日本でも一般的に使われている栄養剤である「イントラリピッド」が、肝臓と脾臓への副作用を低減することを発見しました(※)。

このイントラリピッドを利用した動物実験では、プラチナ製剤投与から24時間後、プラチナ製剤の蓄積が肝臓では約20%、脾臓では約43%、腎臓では約31%減少し、副作用が大幅に低下することが確認されました。

 さらに、プラチナ製剤が働きを保って体内にとどまる時間が長くなるという効果も確認されています。より多くの薬が、がん細胞に届くことになり、さらにその用量を減らすことができる可能性もでてきたとのことです。

 既に医療現場で使われている栄養剤であるだけに、実現も近そうです。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。