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子供もコロナに感染するの?変異株はどうなる?新型コロナウイルス感染症の特徴と最新報告まとめ【医師によるコラム】

2021年08月12日 09時00分
いまだ続く新型コロナとの闘い。今後どう向き合っていけばいいのでしょうか(写真:Shutterstock.com)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)にはどのような特徴があるのか?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行が続いています。本記事ではこの病気の特徴と、重症化のリスク(重症化しやすい原因)をまとめています。

*本記事は、2021年6月22日時点での情報を元に執筆したものです

インフルエンザと比較した時の死亡リスクは?

 新型コロナウイルス感染症の流行が始まった頃には、「新型コロナと言っても、ただの風邪じゃないか。インフルエンザと一緒だよ」というような意見が良く聞かれました。ただの風邪なのに、大騒ぎしすぎだ、と言うのです。

 実際はどうなのでしょうか?

 2020年12月にアメリカで発表された研究によると、新型コロナウイルス感染症で入院した65歳以上の高齢者は、季節性インフルエンザでの入院と比較して、死亡リスクが5倍近く高かった、と報告されています。また、入院中に心臓や腎臓などの重い臓器障害を起こす危険性も高かったと報告されています(※1)。

 このように、年齢と共に重症化や死亡のリスクが高くなるのが新型コロナウイルス感染症の特徴で、お子さんや若年層では確かに「軽い風邪」程度の症状が多いのですが、65歳以上の高齢者にとっては、インフルエンザより深刻な病気であることは間違いないのです。

新型コロナウイルス感染症の多彩な症状

 新型コロナウイルス感染症は当初「新型肺炎」と呼ばれました。これは新型コロナウイルス感染症は基本的には肺炎のような、呼吸器の症状を起こす病気で、それ以外の症状はあまりない、という認識があったことを示しています。

 しかし、その後多くの肺以外の臓器障害が報告されるようになり、新型コロナウイルス感染症は、全身の臓器を侵す病気である、という考え方が一般的となったのです(※2)。

 患者さんの2%から40%に消化器症状が見られる、という報告があります。特に多いのは下痢で、下痢しか症状がない、というケースも多く報告されています。

 臭いが分からなくなる嗅覚障害と、味が分からなくなる味覚障害は、スポーツ選手の事例などで一般にも有名になりましたが、半分以上のケースで認められた、という報告もあります。

 脳障害や神経障害、心筋炎や心不全などの心臓の病気、全身の血栓症なども多く報告されています。2020年9月に発表された、新型コロナウイルス感染症の死亡事例の解剖所見の報告では、肺以外に、心臓、肝臓、腎臓、脳と幅広い臓器に、血栓の所見や炎症の所見が認められています(※3)。つまり、肺ばかりではなく、全身に炎症や血栓が見られることが、新型コロナウイルス感染症の特徴なのです。

小児には感染しにくいのか?

 新型コロナウイルス感染症は、小児では症状が軽く、高齢者では重症化しやすい、という特徴があります。

 流行の初期の頃には、小児には感染しないのではないか、と思われていましたが、現在では小児にも感染はするものの、その多くが無症状もしくは軽症に終わる、というのが事実であると考えられています。ウイルス量も当初は小児では少ないのではないかと想定されていましたが、最近の研究では年齢によるウイルス量の差は少なく、重症であれば小児でもウイルス量は多い、という報告が多くなっています(※4)。

 最近複数の変異株(一部のウイルス遺伝子が最初に報告された遺伝子から変化していて、ウイルスの性質にも影響を与えると想定され、それが一定の広がりを持って増えている場合に命名)が流行するようになり、変異株の一部は若年成人や小児でも重症化が多い、という意見もあります。まだ確定的なものではありませんが、実際に50代以下の死亡事例が増えていることは事実です。今後はお子さんや若い世代の人も、より感染予防に注意する必要がありそうです。

基礎疾患と重症化リスクの関係

 新型コロナウイルスに感染しても、その多くは軽症のままで終わります。問題はどのような場合に重症化しやすいのか、という点にあります。

 厚生労働省による、「新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年7月版)」によると、重症化しやすいのは、高齢者と基礎疾患のある方、一部の妊娠後期の方である、と記載されています(※5)。その重症化のリスクのある基礎疾患等には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、喫煙が含まれています。

 このうち、特に研究されているのは糖尿病と肥満との関連性についてです。

 2020年8月に発表されたイギリスでの研究では、血糖コントロールの悪い2型糖尿病の患者さんは、良好なコントロールの人と比較して、60%死亡リスクが増加していました(※6)。つまり、糖尿病のコントロールを良くすることは、新型コロナウイルス感染症の重症化を予防するためにも重要なことなのです。

 肥満についてはやはりイギリスのデータが、2021年4月に発表されています(※7)。それによると、体格の指標であるBMI(キログラムの体重をメートルの身長で2回割り算した数値)が、標準的な23を超えると、新型コロナウイルス感染症の死亡リスクや入院のリスクが高くなっていました。特に、重症で集中治療室に入るリスクは、BMIが1増える毎に、10%増加していたのです。

変異株の存在と感染予防の重要性

 65歳以上の年齢であること、糖尿病などの持病があること、肥満であることが、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクを高めることは、ほぼ間違いがありません。従って、こうした条件に当てはまる人は、積極的に感染予防に注意する必要があります。

 ただ、最近複数の変異株が報告され、ウイルスの性質が変化している可能性が指摘されています。

 変異株は、より低い年齢でひろがりやすく、また重症化もしやすいという報告もあります。こうした報告はまだ推測の部分が大きく確定したものではない、という点に注意する必要がありますが、これまでの常識が当てはまらなくなる可能性もあります。

 若く持病のない方も、「自分は大丈夫」と過信せず、感染予防に努めることが重要だと言えるでしょう。


執筆者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献

※1. Xie Y, Comparative evaluation of clinical manifestations and risk of death in patients admitted to hospital with covid-19 and seasonal influenza: cohort study., BMJ.
※2. Vetter P, Clinical features of covid-19., BMJ.
※3. Schurink B, Viral presence and immunopathology in patients with lethal COVID-19: a prospective autopsy cohort study., Lancet Microbe.
※4. Chung E, Comparison of Symptoms and RNA Levels in Children and Adults With SARS-CoV-2 Infection in the Community Setting., JAMA Pediatr.
※5. 厚生労働省, 新型コロナウイルス感染症の“いま”に関する11の知識(2021年7月版),(https://www.mhlw.go.jp/content/000788485.pdf)
※6. Holman N, Risk factors for COVID-19-related mortality in people with type 1 and type 2 diabetes in England:a population-based cohort study., Lancet Diabetes Endocrinol.
※7. Gao M, Associations between body-mass index and COVID-19 severity in 6·9 million people in England: a prospective, community-based, cohort study., Lancet Diabetes Endocrinol.

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