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病気・医療

どのようなサポートが必要?認知症と法律違反の関連性についての研究

2015年02月17日 10時00分

 認知症などの神経疾患を患っている場合、たとえ意図的でなくても法律違反の行動をとってしまう危険性が潜んでいます。スウェーデンの研究グループは、病気の種類によってどのような行動を起こしてしまうのかについての調査結果を発表しました。


どのような社会的ケアが必要になるのでしょうか(写真:Shutterstock.com)

社会的なケアが必要な病気

 認知症のような神経が変性して機能が低下するような病気では、判断、行動、感情の処理等に異常を来すことがあります。このような障害は反社会的行為や犯罪行為といった法律違反の行動につながる可能性もあり、注意や周囲のケアが必要となってきます。これまでそうした行為と無縁だった人が関係してくることもあり、社会的な対策も必要になってくると予想されます。

4つのタイプの認知症と診断された人を対象に調査

 2015年、スウェーデン、ルンド大学の研究グループは、認知症患者の犯罪行為の頻度と種類を検証した結果を報告しました。

 対象となったのは、1999年から2012年にカリフォルニア大学の記憶と加齢研究センターを受診した2397人です。この中には、大きく4つのタイプの認知症関連の病気の人が含まれていました。545人は日本でも発症率の高い「アルツハイマー病」、171人は若い人で多く発症し性格の変化を伴う「前頭側頭型認知症」、89人は前頭側頭型認知症のうちの1つで物の意味が理解できなくなる「意味性認知症」、30人は遺伝性の病気で動作に異常が起きる「ハンチントン病」です。

認知症の疾患によって法律違反の種類や頻度は異なる

 対象となった2397人のうち、これらの疾患を発症した後に、法律違反歴があったのは204人(8.5%)となっていました。そのうち、アルツハイマー病では545人中42人(7.7%)、前頭側頭型認知症患者では171人中64人(37.4%)、意味性認知症患者では89人中24人(27%)、ハンチントン病患者では30人中6人(20%)でした(※)。
 
 行為の種類は、前頭側頭型認知症と意味性認知症では多岐に渡り、窃盗、交通違反、性犯罪、不法侵入、立ち小便などとなっていました。一方でアルツハイマー病では認知機能障害と関連した交通ルール違反がほとんどだったそうです。

 研究チームは、認知症に伴う法律違反の行為を司法が判断するときには、症状によって個別に判断する必要があると伝えています。

 認知症の人を常に見張っていることは難しく、線路への立ち入りや行方不明者なども社会的な問題となっています。しかし、このような悲劇をなんとか防げないのでしょうか。今後の研究で、周囲が気をつけるポイントや、サポートすべきことがわかってくることを期待したいです。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Liljegren M, Criminal Behavior in Frontotemporal Dementia and Alzheimer Disease., JAMA Neurol.


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