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【管理栄養士コラム】11月14日は世界糖尿病デー 2型糖尿病の発症につながる原因は遺伝?

公開日:2015年11月11日
更新日:2019年2月12日

 世界糖尿病デーのシンボルは「ブルーサークル」です。2006年に国連で「糖尿病は世界的な脅威であり、実効的な対策が必要だ」と採択されたのがきっかけに、ブルーサークルは糖尿病のシンボルに掲げられました。ブルーは国連の旗の色、サークルは「団結」「生命」「健康」を表しているそうです。


11月14日は世界糖尿病デーです。糖尿病の予防について考えてみませんか?(写真:Shutterstock.com)

 11月になると「さまざまな建築物が青く染まっているな」と感じることがありませんか?それは「世界糖尿病デー」に合わせたイベントかもしれません。

 11月14日は「世界糖尿病デー」です。世界で増え続ける糖尿病を抑制しようと、国連や空を表す「青」と世界の団結を表す「輪」をシンボルとして、世界的なキャンペーンが行われています。日本でもキャンペーンの一環として、東京都庁や鎌倉の大仏、大阪の通天閣などが、今年も青く染まる予定です。

日本人の糖尿病

 厚生労働省が実施した「平成25年国民健康・栄養調査」によると、日本人男性の6人に1人、女性の11人に1人が糖尿病といわれています。平成18年から大きく増えることはないものの、減ることもないのが現状です(図)(※1)。

図. 「糖尿病を強く疑われる者」の割合の年次推移(20歳以上)(平成18年~平成25年)

 糖尿病には「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があるのをご存知ですか?「1型糖尿病」は、血中の血糖を処理してくれるインスリンを作るすい臓の細胞がウイルス感染や自身の免疫システムの攻撃などにより破壊され、インスリンが欠乏することにより発症します。そのため、生活習慣とあまり関係がなく発症すると言われています。

 一方、「2型糖尿病」の発症には食生活の乱れなどの生活習慣が大きく影響しています。日本人の糖尿病患者のうち約90%は、この2型糖尿病と診断されています。
 
 この2型糖尿病は、発症の要因のうち26%が遺伝要因、74%が環境要因だと言われています(※2)。自分の遺伝的な2型糖尿病の発症リスクを確認し、予防に役立ててみませんか?

糖尿病を予防しよう

 糖尿病の発症予防には、まず体重管理です。糖尿病は肥満だけでなく、BMI22~25の過体重(身長に見合った体重以上であること)でも、発症のリスクを増加させるといわれています(※3)。また、過去の最大体重や成人後の体重増加も、糖尿病発症リスクのひとつとなりうるといわれていますので(※4)、生涯にわたる体重管理が大切ですね。

 血糖値などの血液検査指標は、体重の3~5%以上を減少させることで、有意な改善が見られたという研究も発表されています(※5)。例えば、体重60kgで2~3kg程度の減少がひとつの目安になります。

 体重管理の基本は食事と運動です。糖尿病の発症リスクの高い人が食事を改善することで2型糖尿病の70%の発症を防ぐことができるという報告があります。
 
 食事からのエネルギー過剰摂取や、活動低下による消費エネルギー減少により、体重が増加し肥満につながります。「腹八分目でしっかり運動」を心がけたいですね。

糖尿病によい運動

 日本人男性を対象とした調査では、仕事や通勤などの日常的な身体活動量の多い人では、少ない人と比べると2型糖尿病のリスクが27%低かったという結果があります(※4)。糖尿病の予防には、強度の高い運動が必要なわけではなく、ウォーキングなどの有酸素運動が有効とされており、週150分以上が推奨されています(※4)。

 ウォーキングや軽いジョギングには、とてもよい季節です。糖尿病予防のために、外に出て歩いてみませんか?

参考文献
※1. 厚生労働省, 平成25年国民健康・栄養調査報告
※2. デイビッド・B・エイガス, ジエンド・オブ・イルネス, 日経BP社
※3. 「肥満研究」Vol. 8 No. 2 2002
※4. 日本糖尿病学会 編, 科学的根拠に基づく糖尿病ガイドライン2013, 南江堂
※5. 平成24年度厚生労働科学研究「生活習慣病予防・疾病管理による健康指標に及ぼす影響と医療費適正化効果に関する研究」


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