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血糖値が高いと言われたら。気をつけたい糖尿病のメカニズムと症状

2018年02月22日 09時00分

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糖尿病のメカニズムと症状について詳しく解説します(写真:Sara Zidan/クリエイティブ・コモンズ 表示 2.0 一般)

血糖値が高いと言われたら気をつけたい、糖尿病のメカニズムと症状

 私たちが必要とするエネルギーは食物中の炭水化物に含まれるブドウ糖(グルコース)から得られます。血液中に含まれるブドウ糖の量を血糖値といい、空腹時は80~110mg/dL程度に保たれています。食後、血糖値は上昇しますが、インスリンというホルモンの働きで肝臓や筋肉にグリコーゲンとして蓄えられて血糖値は減少します。インスリンはすい臓のランゲルハンス島にあるβ細胞でつくられて血液中を循環しています。このインスリンをつくる細胞が壊れたり、分泌量が減少することにより血糖値を調節できなくなる疾患が糖尿病です。血糖値が高い状態を高血糖といいますが、この高血糖状態が続くとからだに様々な障害が生じます。
 糖尿病には2つのタイプがあります。1型糖尿病はインスリンをつくる細胞がなんらかの原因で破壊され、インスリンを産生することができなくなった状態です。小児や若年者に多いことが知られています。2型糖尿病はインスリンの分泌量が減少したり、うまく働かなくなったときに起こります。糖尿病の約9割はこのタイプとされており、遺伝要因と環境要因の相互作用により、発症することが知られています。糖尿病の主な症状として口の中が渇く、水を多く飲む、尿の量が多くなる、体重減少などがありますが、2型糖尿病の初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。健康診断などで定期的に血糖値をチェックする機会があれば診断につながりますが、検査を受ける機会がなく、長い間放っておくと糖尿病特有の合併症を起こす危険性があります。

糖尿病の診断は血糖値とHbA1cで

 血糖値は糖尿病を診断する上で重要な検査項目ですが、食事の影響を受けやすいため、その判断には注意が必要です。空腹時血糖(朝何も食べていないときの血糖)であれば126mg/dL以上、随時血糖(空腹時以外の普段の血糖)であれば200mg/dL以上を「糖尿病型」と判断します。(※1) HbA1cは食事の影響を受けず、1~2ヶ月前の血糖値を反映する検査です。この数値が6.5%以上を「糖尿病型」と判定します。また、これらの検査以外にブドウ糖負荷試験(ブドウ糖を摂取した後の血糖)2時間値が200mg/dL以上になった場合を「糖尿病型」と判断します。以上の検査を別の日に実施して2回以上「糖尿病型」であった場合を糖尿病と診断します。(※1)

 表1.糖尿病の検査項目と診断基準
血糖値空腹時126mg/dL以上糖尿病型
ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上
随時200mg/dL以上
HbA1c6.5%以上

糖尿病型と判定される血糖値の基準と糖尿病予備群

 血糖値の判定は空腹時血糖と75g経口ブドウ糖負荷試験によりおこないます。空腹時血糖が110mg/dL未満かつ75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値が140mg/dL未満を正常型とし、このタイプの糖尿病型への移行は年間1%未満と低い結果が出ています。空腹時血糖126mg/dL以上またはブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上のいずれかを満たすものを糖尿病型といいます。また、随時血糖200mg/dLを糖尿病型と判定します。そして正常型、糖尿病型のどちらにも該当しないものを境界型といいます(※1)。
 またこれを糖尿病予備群などとよぶ場合があります(※2)。境界型では糖尿病型への移行の頻度が高いため、食事や運動などの生活指導を受け、定期的な検査が必要となります。空腹時血糖値が100-109mg/dLを正常高値といい、定期的にブドウ糖負荷試験を実施することが推奨されています。このように高血糖の判定には採血時の条件が重要になっています。

血糖値が高いと視力が下がる?糖尿病の3大合併症とは

 多くは血管の病変によるもので、目の中の網膜が障害を受けて視力が低下する網膜症、腎臓の働きが悪くなる腎症などですが、これに手足のしびれや痛みなどの神経障害を加えて糖尿病の3大合併症といいます。糖尿病網膜症は失明の原因にもなるため、気を付けなければいけません。網膜は目の奥にある薄い神経の膜で、ものを見るために重要な働きをしています。この網膜には多くの神経細胞が集まっており、酸素や栄養を運ぶための細い血管が張り巡らされています。高血糖の状態が続くとこれらの血管は傷ついたり、詰まったりして、十分な血液を供給出来なくなってしまいます。これを補うため新しい血管が造られるのですが、この新しい血管はもろく、すぐに出血を起こしてしまいます。その結果、生じた血の固まりはしばしば網膜はく離の原因となることがあります。糖尿病網膜症は長い時間をかけて徐々に進行し、自覚症状の無い場合もあるため、定期的に眼底検査を受けることが大切です。
 糖尿病腎症は糖尿病が原因となって起こる腎臓の機能障害です。腎臓には糸球体とよばれる細い血管の集まりがあり、ここを血液が通過することで老廃物を除去するはたらきがあります。高血糖の状態が続くと糸球体をつくる毛細血管に損傷が起こり、腎臓としての機能が損なわれてしまいます。その結果、からだに必要なタンパク質が尿と共に漏れ出し、次第に高血圧も加わって、腎機能不全になることもあります。腎臓の機能が低下をきたした場合、代償として血液透析療法がおこなわれます。このように糖尿病から腎不全を引き起こす例が非常に増加しています。
 糖尿病神経障害の明らかな原因はまだ知られていませんが、発症の初期には足の指や足の裏に痛みやしびれなどが起こり、病状の進行とともに手指にも同様の症状がみられるようになります。このように痛みやしびれなど有痛性の障害のほか、さらに病状が進行すると神経の麻痺が起こり、痛みを伴わない無痛性の障害がみられるようになります。このようになってから足にけがをした場合、痛みが無いため気付きにくくなり、傷口からの細菌感染のため組織が死んで、最悪の場合には切断をしなければならないことにもなりかねません。

今は血糖値が低いという方もご用心。糖尿病と遺伝について

 糖尿病は遺伝要因と環境要因の相互作用の結果、発症する疾患です。この場合の遺伝要因とは、1つの遺伝子の変化がその病気の発症に深く関わり、子孫に遺伝するといったこととは違い、家系内で同じの病気の人が多くいるなど、病気を発症しやすい体質をもっているかどうかということです。これに食生活、運動、ストレスなどの環境要因が発症に関与します。遺伝子検査MYCODEでは糖尿病の発症リスクを遺伝的な観点から調べることができます。ヒトの遺伝情報は30億塩基対からなり、99.9%は同じとされていますが、わずか0.1%の異なる部分が存在します。これを一塩基多型 (SNP) とよび、MYCODEではこのSNPを網羅的にしらべて、2型糖尿病の発症に関わる統計学的に有意な30個のSNPから発症リスクを算出しています。

2型糖尿病の発症予防のために、血糖値を下げる方法は?

 生まれつきもった遺伝要因は変えることができませんが、生活習慣などの環境要因を見直すことで病気の発症リスクを下げることができます。2型糖尿病の発症に肥満や腹部肥満が関連することが研究で証明されています(※4)。また、日常生活における活発な身体活動は糖尿病発症リスクを低減させるという研究データが示されています(※5)。バランスのとれた食事や適度な運動は2型糖尿病のリスクを減らす効果があるものと期待されています。

文責
認定遺伝カウンセラー 藤田和博
プロフィール:昭和大学藤が丘病院での先天異常、血液腫瘍の遺伝子・染色体検査の経験を生かし、現在は大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科教授として臨床検査学教育と研究に従事。

参考文献
※1. 一般社団法人日本糖尿病学会 糖尿病診療ガイドライン2016
※2. 国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター
※3. 日本眼科学会 糖尿病性網膜症
※4. Kodama S et al :Comparison of the strength of association with future type2 diabetes risk among anthropometric obesity indicators, including west-high-retio: meta-analysis. Am j Epidemiol 176: 959-969 2012
※5. Sato KK et al :Warking to work is an independent predictor of incidence of type2 diabetes in Japanese men: the Kansai Healthcare Study. Diabetes Care30: 2296-2298, 2007

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