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【医師によるコラム】昼寝は体に危険?
疲労の回復に繋がり、健康的な習慣であると思われている昼寝。むしろ最近では、昼寝が将来の病気の発症リスクを高めたり、寿命を縮めるなど健康への悪い影響が報告されているそうです。

昼寝は健康的な習慣だと思っていたけれど・・・(写真:Shutterstock.com)
昼寝が健康に良いというのは本当?
こんにちは。六号通り診療所の石原です。
昼寝や仮眠は疲労の回復に繋がり、健康的な習慣であると、理解されている方が多いかも知れません。ただ、これは古くからの慣習、という意味合いが強く、それほど科学的な根拠のある説ではありません。
むしろ最近の報告では、昼寝が将来の病気の危険を増やし、寿命を縮めるのではないか、という、昼寝好きにはゾッとするような研究結果が多いのです。
心臓病や脳卒中のリスク、寿命に関連するという研究も
2014年のAmerican Journal of Epidemiologyという医学誌に載った論文では、特に1日1時間以上の昼寝の習慣が、その後の寿命に悪い影響を与えた、という研究結果が報告されています(※1)。
また、2009年のInternational Journal of Epidemiologyという医学誌に載った論文では、日本人の研究で、昼寝の習慣を持つ人は、やはり寿命に悪い影響を与え、心臓病や脳卒中にもなりやすかった、という結果が報告されています(※2)。
昼寝が体に悪い原因は不明ですが、ひょっとすると昼間に眠気を起こしやすいような、病気の影響を受けているのかも知れません。
昼寝の習慣のある人は、無理にそれを変える必要は当面ありませんが、昼寝が健康に良いという説には、最近はあまり根拠がないという事実は、一応知っておいた方が良いと思います。
執筆者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。
参考文献
※1. Leng Y, Daytime napping and the risk of all-cause and cause-specific mortality: a 13-year follow-up of a British population., Am J Epidemiol.
※2. Tanabe N, Daytime napping and mortality, with a special reference to cardiovascular disease: the JACC study., Int J Epidemiol.