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病気・医療

いつ受ける?何をしたら効果的?知られざる人間ドックの世界

公開日:2021年12月9日

気になる人間ドックの疑問を解決!効果的な受け方はある?(写真:Shutterstock.com)

「人間ドックでがんが見つかった」
 最近では著名人ががんを告白するケースが増えていますが、その多くが人間ドックで見つかったものと報道されています。今や人間ドックという言葉を知らない方はほとんどいないのではないでしょうか。一方、どんなことをやっているかまで把握している人は少ないかもしれません。

 また、興味はあるけれど、どの人間ドックを受けて良いのかわからない。職場の制度でなんとなく受けてはいるものの、結果を活かしきれずにいるという方も多いと思います。

 今回は、そんな人間ドックに関する様々な疑問を、日本人間ドック健診協会理事長の那須繁先生に、詳しく解説していただきました。

那須繁(なす・しげる)理事長

特定非営利活動法人 日本人間ドック健診協会理事長
1980年九州大学医学部卒業後、博愛内科クリニックなどに勤務。1998年より、特定医療法人財団博愛会理事長に就任。他に日本人間ドック学会理事、九州予防医学研究会会長も勤め人間ドックの普及・健康啓発活動に取り組んでいる。

【知っているようで知らない人間ドックの話】

そもそも人間ドックの目的とは?

 人間ドックの主な目的は、「がんと生活習慣病の早期発見」です。病気はある程度進行しないと自覚症状が現れません。その中でもがんは自覚症状が現れた段階になってしまうと治療が困難であることも多いと言わざるをえません。

 病気を早期に見つけ治療を始めれば治癒することもでき、その後の人生が大きく変わることもあります。定期的に身体の総合的な精密検査を行うことで、「自覚症状のない病気」や「将来的に引き起こす恐れがある疾患」を早期に発見、治療し、健康寿命を伸ばすことが人間ドックの目指すところです。

健康診断と人間ドックの違いとは

 健康診断は、主に学校や職場などで実施することが法律で義務づけられ、身体の健康状態を大まかに調べる検査です。

 その他、40~74歳の人を対象に生活習慣病の予防・早期発見を目的に行われる『特定健康診査・特定保健指導』、5大がんと呼ばれる胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの早期発見を目的とした市区町村が実施するがん検診などがあります。

 一方の人間ドックは、個人の意思で受ける、より詳しい健康診断で、一般健診や特定健康診査の内容をカバーし、さらにがん検診も含めて行われます。基本的に自費となりますが、企業によっては補助を行っています。

人間ドック検査直後の医師による結果説明を重視しよう!

 検査項目以外で健康診断との大きな違いは、検査当日に、医師が検査結果を元に健康状態について詳しく説明をしてくれるところです。

 問題があれば適切な対処方法を聞けますし、医療機関への紹介状をもらうこともできます。一般の健診では、後日結果だけが送られてくることが殆どで、結果に対しての理解が不十分だったりと、せっかくの検査の結果を活かしきれないことが多いですよね。

 また、保健師や栄養士などによる保健指導もあり(※編集部注:健診機関によってはない場合もあります)、その人の身体にあった食事や運動の仕方を詳しく知ることもできます。検査を受けただけでは、健康になれるわけではありません。

 早く問題を見つけ、その後にどういう行動をとるべきかを直接指導してもらえ、生活を変える良い機会を得られるという事が人間ドックの大きな意義だと言えるでしょう。

人間ドックで実施する検査内容

 人間ドックの検査項目は基本検査とオプション検査に大別されます。基本検査は、全国どこの人間ドックを受けてもほぼ共通で行われる検査です。自治体などで行う健診と違う検査としては、目の病気を調べる眼底・眼圧検査、肺や気管支の病気を調べる呼吸機能検査、肝臓、胆のう、すい臓、腎臓などを超音波を使って調べる腹部エコー検査などがあります。

 オプション検査は基本検査に追加できる検査で、各施設によりさまざまな種類があります。自分の生活習慣や年齢、家族の病歴などを基に、希望する項目を追加する事ができるのが特徴です。

人間ドックはどんな人が受けたら良いのか?

 人間ドックは、一般にさまざまな病気が気になり始める40歳代から受けて欲しいと思います。

 特に子育て中の忙しい女性や、会社を定年退職した60代以上の方は人間ドックを受けなくなる傾向があります。しかし、その年代はリスクが高まりやすい年代でもあります。30代〜40代の女性は子宮がんや、乳がんを患う方が増えていますし、60代からは特に病気が増える時期です。

 ぜひ年に一度、自分へのご褒美のつもりで、身体の総合チェックをして欲しいと思います。

人間ドックの相場はどの程度?

 相場は首都圏などの都会で5万円前後、地方で4万円前後でしょうか?加入している保険によっては人間ドックの費用の「補助制度」があります。

 この制度を申請することで、検査費用の一部を負担してくれます。人間ドックを受けるときには、加入している医療保険にどのような補助制度があるか調べてみると良いでしょう。


著者

森下千佳(もりした・ちか)
プロフィール:お茶の水女子大学理学部卒。2000年に東海テレビ放送に入社し、主に報道記者として事件、事故を取材制作。女性ならではの目線で取材先の言葉や見過ごされがちな出来事を引き出す事を得意とする。2009年に家族の転勤で、ニューヨークに渡り4年間移住。当時日本ではなかなか手に入らなかったオーガニックのベビー商品、コスメなどを日本に届けるベンチャー起業を立ち上げに関わる。2013年帰国し翌年に女児を出産。2016年より子宮頸がん検診の啓発活動と健康教育を手掛ける一般社団法人の理事を務める。2019年よりフリーのエディターとして、主に女性と子供の健康、子育てに関する取材、発信をしている。

記事提供元

MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「いつ受ける?何をしたら効果的?知られざる人間ドックの世界・前編」(2019年6月14日配信)を一部改編。
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