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病気・医療

アレルギーやがんも防ぐ、あの食べ物が肝硬変にも効く!?

公開日:2015年4月6日
更新日:2020年7月8日

 肝臓は沈黙の臓器といわれているように、肝臓の病気は静かに進行し、気がついたときには症状がかなり進んでいたということも少なくありません。インドの研究グループが肝硬変の症状を緩和する食べ物を発見しました。その食べ物とは?


健康に良いと知られるプロバイオティクス、肝臓にも効果あり!?(写真:Shutterstock.com)

プロバイオティクスって?

 健康食品として人気者のヨーグルト。種類によっては、容器に「プロバイオティクス」と書かれているのにお気づきでしょうか。プロバイオティクス(probiotics)は、共生を意味するプロバイオシスを語源としていて、人の体に良い影響を与えてくれる微生物、微生物の代謝物、それらを含む製品・食品のことをいいます。

 これまでに、乳酸菌は花粉症、アレルギー、がん、生活習慣病や肥満の予防に効果があることが明らかになっています。インドの研究グループは、プロバイオティクスが肝硬変の症状を緩和するということを報告しました。

気が付かないうちに進行する肝臓の病気

 肝臓は沈黙の臓器といわれているように、病気の症状は静かに進行し、気がついたときには取り返しのつかないことになっていることがあります。

 肝硬変は肝臓病の一つで、肝硬変が進行すると、肝性脳症等の合併症が起こります。肝性脳症は、正常の肝臓であれば除去されるはずの毒素(アンモニア)が血液循環によって脳に到達し、脳の機能が低下する病気です。

肝硬変の人に飲んでもらったものは

 研究グループは、インドの企業CDファーマ社製の「VSL#3」という、4種のラクトバシラス属の乳酸菌を含むプロバイオティクスを用いて試験を行いました。

 試験を行うにあたり、肝性脳症から回復した肝硬変の人をランダムに選び、プロバイオティクスを与えるグループと偽薬を与えるグループにわけました。「肝性脳症」の再発予防の効果と肝硬変の入院数や肝臓の状態の重症度などを評価しました。

プロバイオティクスの効果は?

 その結果、6ヶ月間毎日プロバイオティクスを服用したグループでは、肝性脳症で入院する人は19.7%であったのに対し、服用しなかったグループでは42.2%と高くなっていました(※)。肝硬変の合併症まで進行した人についても同じような結果が得られました。

 今ではすっかり健康に万能なイメージがついた乳酸菌ですが、毎日適量食べておきたいですね。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Dhiman RK., Probiotic VSL#3 reduces liver disease severity and hospitalization in patients with cirrhosis: a randomized, controlled trial., Gastroenterology.