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病気・医療

男性ホルモンに関わる遺伝子は、前立腺の病気や男性型脱毛症に影響を与える?

公開日:2015年8月25日
更新日:2021年10月22日

男性ホルモン受容体遺伝子は、前立腺がんや前立腺肥大症、男性型脱毛症に関係があるのでしょうか(写真:Shutterstock.com)

遺伝や男性ホルモンに影響を受ける男性型脱毛症

 男性型脱毛症とは、思春期以降に、前頭部の髪の生え際の後退や頭頂部の髪のボリュームの低下によって地肌が見えやすくなる症状をいいます。一般的に遺伝や男性ホルモン(アンドロゲン)の影響などが主な原因と考えられています。

男性ホルモンの影響を受ける疾患と男性型脱毛症との関連は?

 前立腺がんや前立腺肥大症などの疾患も、男性ホルモンに影響を受けることが知られています。チェコの研究グループは、前立腺肥大症や前立腺がんの人の男性ホルモン受容体遺伝子の配列と男性型脱毛症との関係を調査しました。

 前立腺肥大症もしくは前立腺がんになった309人の男性を対象に、男性ホルモン受容体遺伝子の配列と男性型脱毛症の進行度を調査しました。同時に男性ホルモンの1つであるテストステロンのレベル、そして前立腺がんや前立腺肥大症の可能性の指標となる前立腺特異抗原(PSA)のレベルを調べました。

前立腺肥大症の人では男性型脱毛症に関連していた?

 男性型脱毛症の症状は、予想通り、遺伝型等に関わらず年齢とともに進んでおり、髪の毛の密度が低くなっていました。

 男性ホルモン受容体遺伝子と前立腺肥大や前立腺がんの発症との関係は認められませんでしたが、前立腺肥大症の人において、男性ホルモン受容体遺伝子が男性型脱毛症の進行やPSAマーカーの値に関連していることがわかりました(※)。また、今回の調査で、前立腺炎を併発している前立腺肥大の人はPSAマーカーの値が高く、男性型脱毛症の症状が進行しているという結果が示されました。前立腺がんの人では、この関連は認められなかったそうです。

 今後、男性ホルモン受容体遺伝子についての研究が、男性型脱毛症の治療だけでなく、様々な疾患の治療にもつながるかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。

参考文献

R Kucerova, Androgenetic alopecia and polymorphism of the androgen receptor gene (SNP rs6152) in patients with benign prostate hyperplasia or prostate cancer., J Eur Acad Dermatol Venereol.


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