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病気・医療

【医師によるコラム】太ると何故喘息になるのか?

2016年04月01日 09時00分

 医師による特別コラムです! 太っている人は、少し歩くと呼吸が苦しくなることがあります。喘息のような症状と肥満には密接に関係があることが知られているそうです。太ると喘息のような症状が出る理由とは?


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喘息のような症状と肥満の関係についてご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)

 特別企画、医師の石原藤樹先生によるスペシャルコラムをお届けします!今回は「喘息と肥満の関係」について書いていただきました。

肥満の人は喘息に注意

 こんにちは。北品川藤クリニックの石原です。

 太っている人は、息づかいが苦しそうで、少し歩くとゼーゼーと音がすることがありますね。これは果たして喘息なのでしょうか?

 喘息というのは、アレルギー性の炎症が、呼吸の時に空気が通る気道に起こり、それによって呼吸が苦しくなる病気です。喘鳴(ぜんめい)と言って、胸がゼーゼーするような発作が起こり、喘息の治療薬である吸入により、症状が改善することが特徴です。

 この喘息と肥満との間には、実はかなり密接な関係のあることが分かっています。
 
 肥満のある気管支喘息の患者さんでは、喘息の程度は重く、薬によるコントロールは困難で、急性増悪による入院などの発生も、多いという事実が広く知られています。

 肥満の多いアメリカでは、重症でコントロールの困難な気管支喘息の、大部分は肥満を伴っているようです。
 
 ただ、その一方で、喘息のそれまで全くなかった人が、太ることによって、喘息のような症状が起こることがあります。これは厳密に言えば喘息ではないのですが、症状はほぼ同じなので、肥満喘息という、喘息の仲間として考えることが一般的です。

なぜ太ると息苦しくなるのか?

 それでは、何故太ると喘息のような症状が出るのでしょうか?幾つかの理由が考えられています(※)。
 
 まず、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種であるレプチンが、気道の収縮に働くという知見があります。肥満によりインスリンというホルモンが増える、高インスリン血症が生じますが、これが抹消の副交感神経の興奮を高め、これも気道の収縮に働きます。

 また、肥満による酸化ストレスにより、一酸化窒素が減少し、気道の収縮が起こりやすくなる、というメカニズムも想定されています。
 
 肥満になると気道過敏性が亢進し、要するに気道がすぐに閉じてしまうのですが、その現象の一部は、肥満による肺の容量低下が関係していて、肥満により気道の壁自体も厚くなっている可能性が、指摘されているようです。

 このように複数のメカニズムが、肥満に伴い身体に起こり、気道自体が狭くなり、かつ収縮しやすくなるので、それにより喘息様の症状が起こると考えられているのです。
 
 このメカニズムは加齢により起こりやすくなるので、この成人発症型肥満喘息は比較的高齢者に多いのです。

 この太ることによる喘息症状は、体重を落とすことにより、速やかに元に戻ることが特徴です。その一方で、こうした状態が長く続けば、症状が慢性化して治りにくくなる可能性もありますから、体重が増えて胸がゼーゼーするような症状がある時には、早めに体重を落とすことが、非常に重要なのです。

執筆者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある

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