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病気・医療

【認定遺伝カウンセラーコラム】旅行シーズンに注意したい「静脈血栓塞栓症」

2017年09月14日 12時00分

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エコノミークラス症候群とも言われる静脈血栓塞栓症、どのような予防方法があるの?(写真:Shutterstock.com)

 MYCODEでは、150項目もの病気の遺伝的傾向をご提供しておりますが、中には初めて耳にする病名もあるのではないでしょうか。そのような病気のリスクが高値に表示され、不安を感じられた方もいらっしゃるかと思います。このコラムでは、病気についての理解を深めていただき、生活改善による予防や早期発見についての情報を提供し、日常の健康管理に役立てていただくことを目的にしています。

 今回は「静脈血栓塞栓症」という病気についてご紹介します。

静脈血栓塞栓症とはどんな病気?

 「静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)」は、同じ体勢を続けることで起こりやすくなる病気です。長時間、飛行機の座席に座り続けると起こりやすくなることから、ロングフライト症候群(=エコノミークラス症候群)とも呼ばれています。

 長い間、下肢を動かさずに同じ姿勢でいると足の静脈に血栓(血の塊)ができやすくなります。これは足の奥深くにある血管に生じやすいため、「深部静脈血栓症」と呼ばれます。この血栓はしばしば血流にのって肺にたどり着き、肺の血管を塞ぐことがあります。このような状態を「肺塞栓症」といい、これら一連の病態を総称して「静脈血栓塞栓症」といいます。

 血栓のできる原因としては
 1. 血流が悪くなること
 2. 血管の内側に異常があること
 3. 血液が固まりやすくなっていること
などがあります(※1)。

 この病気は、震災後に狭い車内での避難生活を余儀なくされた方に発症が相次いだことでも注目されるようになりました。このように血流が悪くなることがこの疾患の発症要因のひとつとされています。

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どのくらいの人が発症するの?

 日本人で発症する人は少ないとされていた時代もありましたが、決してそのようなことはありません。食生活の欧米化や、診断技術が向上したことなどもあり、「静脈血栓塞栓症」の診断はさまざまな血栓症の中で最も多いとされています。平成21年の難病情報センターの報告によれば、年間で深部静脈血栓症は14,700人、肺血栓塞栓症は7,900人が診断されたそうです(※2)。

 MYCODEでは静脈血栓塞栓症の遺伝的な発症リスクは最小で日本人平均の0.23倍、最大で10倍という結果をご提供しております。あなたの結果はいかがでしたでしょうか。

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静脈血栓塞栓症の症状は?

 長時間、同じ姿勢でいることにより足の血管に血栓ができると赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。その血栓が肺に流れつくと胸の痛みや息苦しさがあらわれます。肺に血栓ができると血液の圧力が高まり、心臓に負担がかかるほか、十分な酸素を供給することが出来なくなります。重症度は無症状から致命的なものまでさまざまです。

どのようにして診断するの?

 深部静脈血栓症の診断には下肢静脈エコー、腹部・下肢造影CT、下肢静脈造影などがあります。肺塞栓症の診断には胸部X線撮影、心電図、心エコー、胸部造影CTなどがあります。また、身体に負担をかけないD-ダイマーという検査があり、静脈血栓塞栓症の診断には欠かすことが出来ない検査となっています。これは血栓がフィブリンというタンパク質の固まりでできているため、血栓ができるとこれを分解してD-ダイマーという物質がつくられて血液中に増えるので、これを測定して診断します(※3)。

歩行や積極的な下半身の運動で予防を

 座ったままや寝たままでいるなど、長時間同じ姿勢でいることが静脈血栓塞栓症の原因となります。静脈血栓塞栓症の予防としては医療用の弾性ストッキングの使用等もありますが、日常でできる予防法としては、歩行や、下半身を使った積極的な運動やマッサージを行い、血流の停滞をなくすことが有効です(※4)。

 静脈血栓塞栓症は難しい病名ですが、意外と身近な病気です。病気を理解して予防法を実践していただき、日常の健康管理にお役立てください。


執筆者
認定遺伝カウンセラー 藤田和博
プロフィール:昭和大学藤が丘病院での先天異常、血液腫瘍の遺伝子・染色体検査の経験を生かし、現在は大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科教授として臨床検査学教育と研究に従事。

参考文献
※1. 日本循環器学会, 肺血栓塞栓症および深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(2009年改訂版)
※2. 難病情報センター, 肺血栓塞栓症(平成21年度)
※3. 金沢大学血液内科・呼吸器内科, 血液内科・呼吸器内科のお役だち情報ブログ「深部静脈血栓症/肺塞栓シリーズ」
※4. 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン作成委員会, 肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン ダイジェスト版, Medical Front International Limited


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