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病気・医療

冷えすぎは身体に毒。冷房と上手に付き合うための心構え

公開日:2020年9月15日
更新日:2020年10月12日

冷房で体調を崩さないよう、上手に活用しましょう!(写真:Shutterstock.com)

「冷房病(クーラー病)」とは

 冷房病は、冷房による身体の冷えすぎや、室内と外気の激しい温度差が原因で自律神経が乱れることにより起こる体調不良と言われていますが、これは医学的な病名ではありません。医療的見解としては、冷房と体調不良の相関は証明されていないのが現状です。

 しかし、実際には夏場の冷房が原因で体調を崩す方は多いため、体調管理の一環として冷房と上手に付き合う必要があります。

 私たちの身体は夏の暑さに適応するため、身体の熱を逃がしやすいように毛細血管を広げて放熱をしやすくしたり、汗をかくことで体温を下げようとします。この状態でキンキンに冷えた室内にいると、身体から放熱されすぎて冷えを感じやすくなることがあります。

 また、室内と外気の温度差が5℃以上になると体温調節を行う自律神経のバランスが崩れると言われており、発汗のコントロールがしにくくなったり、暑さや冷えに対応できなくなったりします。

 冷房の効いた涼しい部屋は快適ですよね。しかし、あまりにも冷房を効かせすぎたり、冷房の効いた部屋と外の温度差が激しすぎると身体がついていかず、だるさや肩こり、食欲不振を引き起こすいわゆる「冷房病」と呼ばれる状態の原因になることもあります。医師の石原藤樹先生に、冷房病について伺いました。

どんなことが身体に起こる?

 冷房のかけすぎなどで自律神経のバランスが崩れると、手足の冷え、身体のだるさ、冷えからくる肩こり、夏バテにも繋がる食欲不振などの原因となります。

 また、女性は腰痛や腹痛、むくみ、便秘など慢性的に症状がある方も多いですが、自律神経のバランスが崩れることで症状が悪化したり、月経不順などを引き起こす場合もあると言われています。

冷房病を防ぐために

 冷房で体調を崩さないために、冷房の使い方はもちろん生活習慣を改善することも大切です。

【冷房の温度は25℃~28℃】

 冷房病は冷えすぎること、温度差が激しすぎることが主な原因と言われています。冷房の設定温度は25℃~28℃程度が適切ですが、体感温度は人によって差があるので寒く感じない程度にとどめましょう。

 また通常、冷房の吹き出し温度は設定温度よりも低いので、冷房の風に直接当たると冷えすぎの原因となります。いくら外から帰ってきたばかりで身体を冷やしたいからと言っても、思いっきり温度を下げてエアコンの風に直接当たるのは控えましょう。

 加えて、冷房の効いた部屋に長時間いると温度感覚が鈍るので、時々窓を開けて外気を取り入れることも大切です。

【適度な運動で血流促進】

 冷房の冷たい風は足元にたまりやすいのに加え、身体の冷えは手足などの末端から感じやすいため、適度な運動で足元の血液の巡りを促進させましょう。仕事中でも1時間に1度、休憩をかねて軽く歩いたり外気に触れることで血流を良くし、体温調節しやすい身体に整えられます。

【冷え対策グッズも活用して】

 特に女性の中には、職場の冷房が効きすぎて寒いと言う方もいるのではないでしょうか。自分に適した温度調節がしにくい場合は、カーディガンや湯たんぽ、厚手の靴下などの冷え対策グッズを活用しましょう。

冷房を適切に使って夏を乗り切ろう

 40℃近い最高気温が当たり前になりつつある昨今、熱中症を防ぐためにも冷房はなくてはならない存在です。冷房と上手に付き合い、水分補給を適度に行うなどして快適に夏を乗り切りましょう。


取材・文
kencom編集部

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

記事提供元
MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「冷えすぎは身体に毒。冷房と上手に付き合うための心構え」を一部改編。
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