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病気・医療

君のそのホクロは大丈夫?ホクロのがん「メラノーマ」

公開日:2014年12月26日
更新日:2020年8月7日

足の裏のほくろには注意が必要・・・?(写真:Shutterstock.com)

単なるほくろとは違う“メラノーマ” 見分け方ってどうするの?

 今回はほくろのような皮膚がん、メラノーマ(悪性黒色腫)のお話です。メラノーマは、皮膚に色をつけている「メラノサイト」という細胞のがんです。

 一見ほくろのように見えるのですが、メラノーマをほくろだと思って放っておくと、どんどん病状が進んでしまいます。両者は見分けられるのでしょうか?

 見分け方の目安として、一般的に、直径6mm以上の大きさで、輪郭がハッキリせず、やたら真っ黒だったり赤かったりするものは要注意と言われています。また、足の裏や背中など、普段目につきづらい場所に出来やすいという特徴があるそうです。

メラノーマが出来てしまったらどうする?

 メラノーマはがんとしてはたちの悪い部類として知られていますが、他のがんと同様、早期発見、早期治療がとても大事です。転移などが起こる前に発見し、早期に完全に手術で取り除いてしまうのが一番確実と言われています。

メラノーマに良く効く抗がん剤ベムラフェニブ

 抗がん剤の一つとして、メラノーマには、「ベムラフェニブ」が良く効くことが知られています。

 ベムラフェニブは「BRAF」という遺伝子が変異、つまり正しく働かなくなっている人のための薬です。ところが困ったことに、BRAF遺伝子が変異していても、なぜかベムラフェニブが効かない人もいます。

 何故この人たちにはベムラフェニブが効かないのか?英国の研究グループがその原因を調べ、2014年5月、論文を発表しました。

遺伝子の型によって、薬の効き目が違った!

 研究グループは、BRAF遺伝子が変異していてもベムラフェニブが効かない男性の、体のあちこちに転移したメラノーマを手術で取り除きました。そのうちの5か所につき、それぞれの細胞の遺伝子全体を調べる解析をしました。

 その結果、ベムラフェニブが効かない原因となっている遺伝子が新たに2つ見つかりました(※)。これらは「GNAQ」と「PTEN」という遺伝子でした。この発見により、新しい治療薬を開発するきっかけがまた増えたこととなります。

 今回の研究でも明らかになったように、薬の効き方というものには、遺伝子が密接に関わっていることがあります。今後同様の研究が進むことにより、皆さんの遺伝子に合わせた個人個人に最適な薬というのが、適切に提供できるようになる日がくるかもしれません。

 今後の研究に、これからも期待したいですね。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Turajlic S, Whole-genome sequencing reveals complex mechanisms of intrinsic resistance to BRAF inhibition., Ann Oncol.


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