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「疲れやすい」や「めまい」は甲状腺が原因のことも!?気になる症状をチェック

2019年07月10日 09時00分

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最近、体がだるいと感じるあなた。それって甲状腺の働きが低下しているのかも?(写真:shutterstock.com)

元気な生活になくてはならない甲状腺の働き

 甲状腺は、のどぼとけの下にある小さな臓器で、「甲状腺ホルモン」を作って血液中に分泌しています。甲状腺ホルモンは、体の成長を促し、全身の細胞の新陳代謝を活発にするなど、私たちが元気に生活するためになくてはならない役割を担っています。

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甲状腺のイメージ図(画像:shutterstock.com)

 甲状腺ホルモンの量は多すぎても少なすぎても体にとって問題となるため、その分泌量は適切にコントロールされる必要があります。しかし、何らかの要因でそのコントロールがうまくいかなくなると全身に様々な症状が現れてしまいます。

気付きにくい甲状腺の病気の初期症状

 甲状腺の病気による初期症状の程度には個人差があるだけでなく、症状がはっきりしないこともあるため、単なる疲れや不調だと思い込んだり、他の病気だと診断され、なかなか甲状腺の病気だとは気が付かない場合もあると言われています。

 実際に、国内では約45万人が甲状腺の治療を受けていますが、推計では甲状腺の病気で治療が必要な人は240万人ほどいると考えられており、甲状腺の病気で治療や診断を受けていない人が多くいる可能性が指摘されています(※1)。

 甲状腺の病気は早期に正しく診断・治療を受ければ命に関わることはほとんどないものの、元気に生活する上で様々な支障がでてしまうため、できるだけ早い段階で専門医を受診することが望まれます。

甲状腺が原因となる主な病気

甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
 甲状腺が働きすぎて必要以上に甲状腺ホルモンが作られすぎることによる病気です。甲状腺は全身の代謝を高めるため、常に体が働き全力疾走を続けているような状態になり、必要以上に疲れてしまいます。心臓にも負担がかかり、治療せず放っておくと心不全などを起こす可能性もあります。甲状腺機能亢進症の中で最も多いバセドウ病は、自身の甲状腺に対して免疫が抗体を作って攻撃してしまうことで起こる自己免疫疾患です。

甲状腺機能低下症(橋本病など)
 甲状腺ホルモンの量が不足し、その結果として新陳代謝が低下してまるで老化のような症状がみられることが特徴です。ぼーっとして忘れっぽくなり、程度によっては認知症のような症状となることも。甲状腺機能低下症のうち、橋本病もバセドウ病と同じ自己免疫疾患で、甲状腺の炎症が原因で起こりますが、抗体の種類や症状が異なります。

甲状腺腫瘍
 名前の通り、甲状腺に腫瘍ができる病気です。甲状腺腫瘍の多くは良性であると言われており、悪性のものが甲状腺がんです。甲状腺がんは、他のがんに比べて進行が遅く、比較的治りやすいがんと言われています。しかし、一部には未分化がんのような悪性度の高いがんもあります。

甲状腺は女性の病気?男性・女性で症状の違いは?

 甲状腺の病気の発症には、男女差や年齢の違いは関係あるのでしょうか?例えば、バセドウ病は20代から50代の女性に多く、男性の患者は2割程度とされ、橋本病は7割から8割が女性であるとされています。

 比較的男性でも多い甲状腺の悪性腫瘍(甲状腺がん)でも2016年の女性の患者は男性の2倍以上となっています(※2)。そのためか一般的に甲状腺の病気は女性のものである印象が強いかもしれません。

 しかし、そうはいっても甲状腺の病気が男性で稀な病気というわけではないため、安心はできません。甲状腺の病気は女性の病気であるというイメージが強いため、男性の場合、発見が遅れることが懸念されているのです。

これって甲状腺ホルモンが原因かも?症状チェックリスト

 甲状腺ホルモンが原因の病気では、どんな症状がみられるのでしょうか。以下のチェックリストで確認してみてください(※3)。

甲状腺ホルモンが多すぎる場合の症状:バセドウ病などが疑われます。
□ 疲れやすさやだるさがある
□ 脈拍数が多くなり、動悸・息切れがする
□ 手足がふるえる
□ 首もと(甲状腺)が腫れる
□ 暑がりになり、汗が異常に多い
□ 食べ過ぎているのに体重が減少する
□ 口が渇く
□ イライラする
□ 眠れない など

甲状腺ホルモンが少なすぎる場合の症状:橋本病などが疑われます。
□ 疲れやすさやだるさがある
□ 脈拍数が少ない
□ 汗が少ない
□ 寒がりである
□ 顔や体がむくむ
□ 首もと(甲状腺)が腫れる
□ 体重が増える
□ 気力がない
□ 筋力が低下する
□ 動作が鈍い
□ 眠たい
□ 皮膚が乾燥する
□ 声がかれる
□ 物忘れしやすい
□ 髪の毛が抜ける
□ 便秘 など

甲状腺の腫瘍ができた場合の症状
のどの腫れ以外にほとんど症状がないことが多い
腫瘍によって飲み込みづらい、声がれ、痛みを感じる場合がある

のどの痛みや咳が続く…これって甲状腺の病気の症状?

 甲状腺はのどの奥にある器官ですが、バセドウ病や橋本病など甲状腺の病気で、のどの痛みや咳が続くことはあるのでしょうか。

 上記のような病気で甲状腺が腫れた場合に、気管が圧迫されてのどが詰まったような感じになり、声が枯れ、咳がでることもあるようです。

これって甲状腺の病気?些細な症状でも気になれば専門医へ

 いかがだったでしょうか?甲状腺の病気は意外と身近であるにも関わらず、見過ごされやすいようです。

 気になる症状や当てはまる項目が多いときや心配な場合は、甲状腺の専門医を受診することが推奨されています。甲状腺の専門医は日本甲状腺学会のホームページ等でも公開されています。チェックリストの項目で気になる症状があれば、できるだけ早く受診しましょう。

 MYCODEヘルスケアでは甲状腺に関する項目について、あなたの遺伝的傾向(生まれ持った体質や病気のかかりやすさ)をお調べしています。この機会にチェックしてみてください。

甲状腺がん
甲状腺機能低下症
発育・新陳代謝の関連ホルモン(甲状腺ホルモン)値
発育・新陳代謝の関連ホルモン(甲状腺刺激ホルモン)値

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
※1. 志村浩己, 日本における甲状腺腫瘍の頻度と経過−人間ドックからのデータ, 日本甲状腺学会雑誌
※2. 厚生労働省, 全国がん罹患数 「2016年速報」
※3. 伊藤公一, 新版 甲状腺の病気の治し方, 講談社