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病気・医療

新薬開発に大きな一歩!
5億人に感染するマラリアから世界を救えるか?

2014年12月30日 11時00分

マラリアの分布図。こうしてみると熱帯のほぼ全域である事がわかります。

世界三大感染症「マラリア」

 マラリアという病気を知っていますか?日本ではあまり聞かない病気ですが、世界的にみると年間で約5億人がかかり、200万人以上が死亡している深刻な感染症です。マラリアは、世界保健機構(WHO)により、エイズ、結核にならび、世界3大感染症に指定されています。

マラリアは「ハマダラカ」でしかうつらない!

 マラリアは、「原虫」という寄生虫の仲間で、血の中で酸素を運ぶ役割を担っている「赤血球」という細胞に寄生します。マラリアにかかった人の血を蚊が吸って、その蚊がまた他の人を刺して、と連鎖が起きる事で感染が広がっていきます。

 ただ、どんな蚊でもいい訳ではなく、マラリアは「ハマダラカ」という蚊だけからしかうつりません。マラリアが次の人にうつる準備は、ハマダラカのお腹の中でしか出来ないのです。
ハマダラカはアフリカ、東南アジア、南米などの熱帯・亜熱帯にしかいないので、マラリアも主にその地域で流行しています。現在流行地は、世界107カ国、地球の面積で見ると、なんと約47%にもなるそうです。

 ちなみに日本では、沖縄の八重山諸島にハマダラカが生息しており、以前はマラリアが流行していたのですが、沖縄政府の対策により、1961年に終焉を迎えました。しかし、ハマダラカ自体は今も八重山諸島に生息しています。

マラリアは何故問題?

 どうして毎年多くの人がマラリアで亡くなってしまうのでしょうか?実は、亡くなっている人の多くは体の弱い5歳以下の子供や免疫のない大人、それから妊婦さんなのです。

 マラリアの治療薬はあるのですが、強い薬であるために体に負担がかかったり、重症化してしまうことも多々あります。また、マラリア原虫もそう簡単にやられる訳にいかないので、薬が効かないようにどんどん変化していきます。

 マラリアのワクチンは、残念ながら今のところありません。「RTS,S」というワクチンの候補があり、実際にマラリアに罹った人を対象に調査が行われましたが、今のところその効き目は疑問視されています。

 そんなこんなで、やはり新しい薬の登場が待望されていたというわけです。

新しい治療薬!

 各国による精力的な研究の結果、ついに新しい治療薬の候補ができ、2014年12月にアメリカの研究チームにより論文が発表されました。その名は「(+)-SJ733」。

 この新薬は、マラリア原虫内部の余分な塩分をくみ出すポンプの役割をしているタンパク質を邪魔する薬です。この薬で原虫の塩分バランスが崩れると、感染している赤血球に「ここに原虫が感染してるよ!」と教えるような目印がつきます。その目印をめがけて免疫細胞がやってきて、感染赤血球を破壊するというしくみになっています。

 研究グループは、マウスの実験で、1回この薬を投与すると、2日以内に完全にマラリアが治ることを証明しました。すごい効き目です!
 現在、研究を一歩進め、健康な人を対象とした薬の効き目の検証を計画しているそうです。

日本でも油断禁物!

 現在日本ではマラリアは流行していません。日本人では、海外へ行った人が感染する、いわゆる「輸入感染症」として、年間約50人ほどが報告されています。
熱帯地域を中心とした地域に旅行する際には、現地で蚊に刺されることのないよう、しっかりと用心しましょう。虫除けスプレーはもちろん、特に蚊が多い場所に出かける際は、長袖長ズボンの着用が望まれます。

 また、海外に旅行しないといっても、油断は禁物です。先ほどもお話しした通り、八重山諸島にはハマダラカが生息しています。そして外国からたくさんの船がやってきます。その中にもしマラリア感染者がいて、ハマダラカが血を吸ったら・・・!さらに、地球温暖化によりハマダラカの生息域が北上してきたら・・・!

 今回の新薬も、早く実用化されて世の中に出てくれることを願いたいですね。


参考文献

Jiménez-Díaz MB et al. (+)-SJ733, a clinical candidate for malaria that acts through ATP4 to induce rapid host-mediated clearance of Plasmodium.
Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Dec 16;111(50):E5455-62. doi: 10.1073/pnas.1414221111.

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