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病気・医療

病は気から・・・「期待感」でパーキンソン病の症状が改善!?

公開日:2015年1月26日
更新日:2021年7月1日

期待感でパーキンソン病の症状の改善がみられた、という研究についてお伝えします(写真:Shutterstock.com)

病は気から?

 「病は気から」と言いますが、気のもちようで本当に病気の症状が軽くなったりするのでしょうか?

 米国のコロンビア大学の研究グループは、「期待感」のみでパーキンソン病が良くなる可能性があるという研究結果を報告しました。

期待感と脳内物質の関係

 人が行動するとき、「期待感」は強力な影響力をもっていると考えられています。何か行動を起こすとき、その行動で得られるメリット(報酬)への「期待感」で前向きになり、行動できるというのは、皆さんも感じた事があるのではないでしょうか。

 この、何かをする事で得られる報酬に対する「期待感」を感じるのには、脳内のドーパミンという物質が重要である事は知られており、このドーパミンは期待感のみで脳内に増えてくる、という事もわかっていました。

「期待感」だけで脳が活性化した

 では、この期待感と病気には何か関係があるのでしょうか?研究者たちは、脳内のドーパミン量と強い関係にある、パーキンソン病という疾患に着目しました。

 ドーパミンは脳内の神経細胞同士の情報伝達に大きな役割を担っており、パーキンソン病は、脳内のドーパミン量が低下し、神経細胞同士の情報伝達がうまく働かなくなっている病気です。

 研究グループは、ドーパミン量が低下してパーキンソン病になっている人を対象にして、ニセ薬を使う事で、「期待感」によるドーパミン量増加の効果を調べました。機能的核磁気共鳴画像法(fMRI)などを用いて、脳の活動について調べた結果、ニセ薬を飲んでいるパーキンソン病の患者では、薬が効くはずだという「期待感」のみで脳の機能が高まり、症状が改善されていることがわかりました(※)。

 今回の成果は、パーキンソン病については、期待感のみで症状が改善される可能性があることが示されたインパクトのあるものでした。

 日頃から期待感をもちながらプラス思考でいると、脳が本当に元気になっていくのかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Schmidt L, Mind matters: placebo enhances reward learning in Parkinson's disease., Nat Neurosci.


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