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病気・医療

花粉症の舌下免疫療法は、花粉症の予防にも効果あり!?

公開日:2015年2月24日
更新日:2022年3月30日

スギ花粉症の舌下免疫治療法には予防効果もある?(写真:Shutterstock.com)

花粉症の舌下免疫療法を知っていますか

 スギ花粉症の「舌下免疫」(ぜっかめんえき)と呼ばれる治療法をご存知でしょうか?医師の指導のもとで、スギの花粉エキスを舌の裏側につける、という治療で、保険適用で使える薬がすでに(2014年10月)発売され、病院で治療することができるそうです。

花粉に反応しはじめた人を対象にした試験

 2015年1月、日本の三重大学の研究グループが、この舌下免疫療法の花粉症予防効果についての研究結果を報告しました。

 研究グループは、スギ花粉に対する免疫の値「IgE」が高いものの、スギ花粉に対して症状がでていない、つまりもうすぐ花粉症になりそうな29人を対象に「舌下免疫療法」の効果を検証しました。

 被験者を2つのグループに分けて、5カ月間、一方のグループには「舌下免疫療法」を行ってもらい、もう一方のグループには何も効果がない偽の薬を使ってもらって比較しました。結果の判定には、両グループの花粉症の症状だけでなく、免疫細胞の中で「インターロイキン10」と呼ばれる、花粉症やアレルギーなどの原因となる過剰な免疫反応を抑えるたんぱく質の量を測定しました。

予防の効果はあり

 その結果、舌下免疫療法は花粉症の進行を予防することができることが示されました。舌下免疫療法を行ったグループでは、偽の薬のグループよりもスギ花粉症の症状が少なく、多くの人ではインターロイキン10の値も増加し、免疫反応の暴走を抑える方向に進んでいました(※)。

 効果の個人差もあり、すべての人が劇的に予防できるというわけではないようですが、ある程度の予防効果が期待できそうです。

すでに花粉症の人の治療は?

 ちなみに、治療における舌下免疫療法は8割の人に改善効果が認められるそうです。すべての人が良くなるわけではないとはいえ、つらい花粉症、注射やお薬を飲まずに治療できるならぜひやってみたいという人も多いかもしれません。

 残念ながらこの治療はスギ花粉が飛んでいるときは始められず、2年ほどかけてゆっくりと治療するそうです。でも来年以降の花粉症を少しでも楽にしたい!という人は一度、花粉の時期が終わってからお医者さんへ行ってみてはいかがでしょうか。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Yamanaka K, Immunological parameters in prophylactic sublingual immunotherapy in asymptomatic subjects sensitized to Japanese cedar pollen., Allergol Int.


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