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遺伝子

【MYCODE会員様限定セミナー】
遺伝子変異と多型 ~遺伝子検査の有用性と可能性~

2015年05月07日 10時00分

 4月22日に渋谷ヒカリエにおいて開催したMYCODE会員様限定セミナーの内容をご紹介する第2弾。東京女子医科大学の菅野仁先生のご講演をお届けします。医師の立場からご紹介いただいた遺伝子検査の現状や検査で気をつけたいポイントとは?


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セミナーの様子。

 4月22日に渋谷ヒカリエにおいて開催したMYCODE会員様限定セミナーの内容をご紹介する第2弾。東京女子医科大学の菅野仁先生のご講演内容をお届けします。


【内容】
遺伝子変異と多型
親から伝わる遺伝子変異と突然変異
遺伝子検査を用いた個別化医療
遺伝子多型を調べることの意義

 本セミナーでは、遺伝子検査でわかることや遺伝子検査を受けるメリット、遺伝子検査を応用した健康管理のコツについて、ご紹介いただきました。

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講師の東京女子医科大学の菅野仁先生。

遺伝子の配列は人それぞれで異なる。遺伝子配列の違いによって、病気のリスクや薬の効果や副作用が異なる?

 私たちの遺伝子配列は、人それぞれで異なっています。一部の塩基配列の違い(多型)が病気の発症リスクに影響を与えることがわかっています。遺伝子検査では特定の遺伝子の多型を利用して、病気の発症リスク、薬の効果や副作用の出やすさなどを調べることがあります。

遺伝子検査は大きく3つのタイプに分かれる

 遺伝子検査を、アレル頻度と効果サイズをもとに、単一遺伝子疾患、薬の効果や副作用、多因子疾患を調べる検査の3つに分けてお話いただきました。特に、この中で、単一遺伝子疾患と薬の効果や副作用を調べる検査は、医療行為の一環で行われているものがあるそうです。

(i)単一遺伝子疾患を調べる検査

 単一遺伝子疾患とは、ある1つの遺伝子の変異(塩基置換、欠失、挿入など)が原因となって発症する病気の総称です。
 東京女子医科大学でも様々な単一遺伝子疾患の診断のために遺伝子検査が行われていて、菅野先生は先天性溶血性貧血、先天性赤芽球癆、先天性赤血球異形成貧血などの血液病の病因遺伝子を調べているそうです。

(ii)薬の効果や副作用を調べる検査

遺伝子検査を受けないと、飲めない薬があった
 医療現場では、遺伝子検査を受けないと薬による治療が行えない場合があるそうです。実例で説明されていたのは、イリノテカンという抗がん剤。この薬は、肺がん、乳がん、大腸がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、精巣腫瘍などの治療に使われています。しかし、この薬には好中球減少症と下痢になりやすいという副作用があるため、実際に使うことになった場合、まず遺伝子検査を受ける必要があることが薬の添付文書で示されているそうです。

薬の代謝や体内での循環は人によって異なる
 薬の吸収、分布、代謝や排泄の効率や速度は人によって異なるため、薬の効き目や副作用の有無が変わってくるようです。これまでは、患者さんに薬を飲んでもらい、血液中に含まれている薬の濃度を測定してからでないと、適切な薬用量が決められなかったそうです。しかし、薬の吸収、分布、代謝や排出に影響を与える遺伝子の配列が明らかにされたことで、遺伝子検査により副作用が出やすいタイプか調べたり、効果や量を予測したりすることが可能になってきました。

個別化医療の時代がやってくる?
 イリノテカンに対する副作用を薬の投与前に遺伝子検査で調べることが出来るようになったとはいえ、副作用が出やすい遺伝子を持っていない人のうち、15%の人では副作用が出てしまったという研究報告があります。このように、薬の副作用が出やすいかどうかを調べる遺伝子検査の結果は、現時点では100%確実なものではないことに注意が必要だということです。
 今後情報が蓄積されていくことで、お医者さんが患者さんの遺伝子型をみて、処方する薬を選択することができるようになるかもしれませんね。

(iii)体質や多因子疾患を調べる検査

 3つ目は、MYCODEのように遺伝要因と環境要因の相互作用で発症する疾患や体質を調べる検査です。世界中の研究チームによって、全遺伝情報の中から病気の発症リスクや体質に関わるたくさんの遺伝子配列の多型(SNP)が明らかにされています。体質や多因子疾患の発症リスクを調べる検査では、このSNPが利用されています。本検査の場合、一般的に1つのSNPが体質や疾患の発症リスクに目に見えるほどの影響を与えることはほとんどなく、その影響力は小さいそうです。現在、疾患のリスクを高めるタイプのSNPをたくさん持てば、病気のなりやすさも大きくなる場合があるかどうか、研究が進んでいるそうです。
 疾患のリスク因子は環境因子や生活習慣にもあるので、自分の遺伝的なリスク因子を知ったうえで、生活習慣の改善などによって健康維持に役立てることができると、ある程度、病気の発症や進行などが変わってくる可能性はあるそうです。

遺伝子検査を受ける前に知っておきたいこと

たくさんある遺伝子検査サービス。どの会社のサービスを選んだらよいのでしょうか?
 検査精度が悪いと結果が違ってしまうため、精度の高い検査を受けることが重要だそうです。また、遺伝子検査は、遺伝子の配列(タイプ)を決定する工程と結果を解釈する工程の2つのステップがあり、どちらか1つでも精度が悪いと正しい結果が得られない可能性が高くなるそうです。

生活を改善する方法は多様
 自分がどのような生活習慣の改善をすべきか、現時点では答えは一つではないそうです。

新しい情報を入手する必要性
 新しい学術論文が発表されたりするとリスクモデルが変更される可能性があるので、遺伝子情報を基にした健康設計は、新しい情報で定期的にバージョンアップすることが大切なのだそうです。

未来の医療を一緒に作り上げましょう
 この分野の研究は発展途上のため、今後の研究で、疾患リスクや体質に役立つ新しい情報もしくはこれまでの解釈と異なる情報が得られる可能性があるそうです。そのためには、一人でも多くの人から情報を集めて研究を行う必要があるため、皆様のご協力が必要となってきます。きちんと研究内容を理解し、研究への参加に同意することで、もしかしたら健康に役立つ情報を入手できるかもしれませんとのことでした。

 今回のセミナーでは、医療分野でご活躍されている先生から、遺伝子検査についてお話を聴くことができました。遺伝子検査は医療行為の一環で行われているものがあり、個別化医療への貢献が期待されていることがわかりました。ただし、遺伝子検査は、薬の副作用の出やすさなどをある程度知ることができるものの、その結果は100%でないということを私たちは理解しておく必要があります。
 新しい知見がどんどん得られている分野なので、新しい情報をインプットする必要があります。私たちは、最新の知見を定期的にサービスに反映していきたいと考えています。引き続き、MYCODEをよろしくお願いいたします。

 次回は、弊社認定遺伝カウンセラーの発表内容をご紹介したいと思います。


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