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あなたは長い?短い?「細胞分裂の回数券」、テロメアの長さと寿命の関係

公開日:2015年8月28日
更新日:2020年3月30日

テロメアの長さと寿命の関係についてご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)

この記事のポイント3つ!
・「細胞分裂の回数券」テロメアって一体何なの!?
・動脈硬化にも影響があるの!?小さなテロメアの大きな影響にびっくり!
・世界一の長寿国、日本人が多く持つ遺伝的傾向は果たして・・・!?

細胞分裂の回数には限りがあった!

 あなたは、「テロメア」という言葉を聞いたことがありますか?

 染色体の末端に存在している構造体であり、ギリシア語で「末端」を意味するtelosと「部分」を意味するmerosから作られた語です。

 私たちは、細胞分裂によって新しい細胞を作り、生命を維持しています。細胞が分裂する時には染色体が同じようにコピーされますが、染色体の末端にあるテロメア部分は細胞が分裂するたびに徐々に短くなっていきます。

 染色体がヒモだとすれば、テロメアはそれがほどけるのを防ぐ金具のようなものであり、テロメアが短くなると染色体は不安定になり、最終的に分裂をやめてしまいます。これが細胞の老化の仕組みです。

 テロメアの長さには個人差があり、長いテロメアを持っている人は、短いテロメアを持っている人に比べて細胞分裂の限度回数が多いということになります。

 このように、テロメアは細胞分裂の回数制限を決めていることから、「細胞分裂の回数券」「生命の回数券」などとも呼ばれています。

 そんなテロメアは、2009年のノーベル生理学・医学賞の研究テーマにもなっていました。

老化や寿命にも関係しているの!?

 テロメアの長さが短くなることで分裂をしなくなる細胞は、私たちが年齢を重ねるにつれて増えていきます。

 老化した細胞が増えていくことで、私たち自身にも老化の兆候が出てくると言われています。

 例えば血管に老化した細胞が増加することで、動脈硬化の発生や進展に影響しているという報告もあります(※1)。

 また、テロメアは老化だけではなく寿命にも関係しているとも言われています(※2)。

 日本では行われていませんが、海外ではテロメアの長さを測定することで個人の寿命を推測する「寿命検査」というサービスもあるようです。

人によって生まれ持ったテロメアの長さが違う

 そんなテロメアですが、生まれ持った長さと遺伝子との間に関連があることが英国レスター大学を中心とした研究グループにより明らかにされています。

 研究によると、特定の遺伝子のタイプ(遺伝型)を持つ人のテロメアは長くなる傾向にある、ということが明らかになりました(※3)。

 私たちは常に2対の遺伝子を持っていますから、そのタイプの遺伝子をいくつ持っているかによって、テロメアの長さが「長いタイプ」「やや長いタイプ」「やや短いタイプ」の3タイプに分かれることになります。

 世界一の長寿国と言われる日本ですが、3タイプのなかで最もテロメアの長さが長い傾向を持つ遺伝型を持つ日本人は約10%となっているそうです!

あなたのテロメアの長さの遺伝的傾向を確認できます

 MYCODEでは、あなたの遺伝的なテロメアの長さのタイプについて調べることができます。長寿や老化に関係があるとされるテロメアの長さ、気になりませんか?


監修者

認定遺伝カウンセラー 藤田和博先生
プロフィール:昭和大学藤が丘病院での先天異常、血液腫瘍の遺伝子・染色体検査の経験を生かし、現在は大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科教授として臨床検査学教育と研究に従事。

参考文献

※1. 南野 徹, 血管の老化の予防は可能か?, 第 50 回日本老年医学会学術集会記録
※2. Adwan Shekhidem H, Telomeres and Longevity: A Cause or an Effect?, Int J Mol Sci.
※3. Codd V, Identification of seven loci affecting mean telomere length and their association with disease., Nat Genet.