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おいしそうなお菓子の映像、なぜお腹が空いていなくても食べたくなるの?

公開日:2017年4月14日
更新日:2022年4月19日

おいしそうな食品CMを見ると、お腹が空いてきちゃうことも遺伝子と関係?(写真:Shutterstock.com)

広告に影響されやすいのは私だけ!?

 テレビから放送されるおいしそうな食べ物の映像。見ているとお腹がすいてきた、そんな経験はありませんか?

 米国の研究グループは、テレビの食品CMの映像が、子供に食べ過ぎを引き起こしているのではないか?という問題を調べる中で、食品CMへの反応しやすさと関連する遺伝子を発見しました。

CMを見た子供達の行動を比較する実験

 研究グループは健康な子供達を集め、ある実験を行いました。その実験は、お腹が空いていない子供達にテレビの食品CMを見せると、食品CMを見ていない子供達よりもたくさん食べてしまうかどうかを調べるというものです。

 実験に参加した約170人の子供たちは、お腹いっぱい昼食を食べたあとでランダムに2つのグループに分かれ、それぞれ、食べ物(グミキャンディー)かおもちゃのいずれかのCMを含むテレビ番組を30分程度視聴しました。実験中、どちらのグループも近くにグミキャンディー、クッキー、チョコレート、チーズパフの4種類のお菓子が置かれていて、みんな自由に食べられるようになっており、終了後にそれぞれのグループがどのくらいお菓子を食べたかが調査されました。

食品広告の影響を「受けやすい」人とは?

 結果として、食品CMを見た子供達は、おもちゃのCMを見た子供達よりも平均44キロカロリー分グミキャンディーを多く食べていました(※)。このことから、食品CMが子供達の食事行動に影響したと考えられます。そして、食品CMを見た子供達の中でも、ある遺伝子の特徴をもっていると、より影響されやすいことがわかりました。

 研究グループが、体脂肪や肥満と関連することが知られる「FTO」遺伝子上にある特徴(SNP)rs9939609と、グミキャンディーを食べていた平均量を調べたところ、rs9939609が「AA」という配列の子供達は、「A」をもたない「TT」の子供達と比較して100kcal以上多くのグミキャンディーを食べていました。

 rs9939609は、報酬予測行動(欲求が満たされ、満足する気持ちになるであろうと予想すること)に関連するという報告もあり、研究グループは、食品CMが報酬系の神経伝達を刺激して、必要以上の食欲を生み出しているのではないかと考えています。

「ふむふむ、そうなんだ!」自分のことを調べてみよう

 とはいえ、どちらのグループもお腹はいっぱいだったにも関わらず、置いてあるお菓子をたくさん食べていました。なんと平均480キロカロリーも余分に食べていたのです。

 あなたも、テレビ見ながら近くに置いてあるお菓子をモグモグ・・・はカロリーをとり過ぎる原因となってしまう可能性があるので充分注意してくださいね。

 食欲の傾向についてもわかってしまう遺伝子。MYCODEでは残念ながらこのrs9939609は調べることができませんが、MYCODE fumfumでは、例えば「痩せやすさ」「若返りホルモン」など、ダイエットや美容に関わる遺伝的特徴を調べることができます。気になる方はぜひ、「ふむふむ」してみてください。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献

Gilbert-Diamond D, Television food advertisement exposure and FTO rs9939609 genotype in relation to excessconsumption in children., Int J Obes (Lond).