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たばこをやめて健康になりたい!禁煙療法でやめられるかどうかも遺伝子で分かる!?

公開日:2018年10月31日
更新日:2018年12月28日

今日でやめよう!そう思っても続かないのはなぜ?(写真:Shutterstock.com)

たばこ、やめた方が良いのはわかってるけど・・・

 たばこは「百害あって一利なし」と言われるほど、健康への害が知られています。実際、喫煙は世界中において死亡率を上げ、がんや心臓病などの疾患の原因として主要な要因の一つとなっています(※1)。

 しかし、それと同時に健康に悪いことを知っていたとしても、喫煙者はなかなか禁煙できないことも知られています。アメリカで10年間に及んだ調査で、実際に禁煙に成功している人は毎年、全喫煙者の6%程度であることが報告されています(※2)。煙草をやめれば良いとわかっているにも関わらず、やめることができない人が多数いるのはなぜなのでしょうか。

遺伝的に禁煙しやすい人はいるの?

 たばこに含まれるニコチンは依存性が強く、麻薬やアルコールと同じような依存性薬物であるとされています(※3)。

 イタリア国立がん研究所の研究グループは、脳内でニコチンの情報を受け取るはたらきをする、ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットと呼ばれる物質に着目しました。この遺伝子配列の違い(遺伝子多型)が、それぞれの人においてニコチン依存症になりやすいかどうかや、禁煙する能力に関わっているのではないかと考えて研究を行いました。

 研究グループは、喫煙しているイタリア人、337名を対象にして、数種類のニコチン性アセチルコリン受容体遺伝子(CHRNA4, CHRNA5, CHRNB2)の遺伝型と、禁煙に対する治療の効果について関連があるかどうかを調査しました。

禁煙療法の効果に関連する遺伝子

 調査では、参加者に対し禁煙薬による治療(バレニクリン、ブプロピオン、ニコチン補充療法、ニコチン補充療法とバレニクリン併用のいずれか)をうけてもらいました。参加者の遺伝型を調べるとともに、1日に喫煙したたばこの数の記録と、呼気中の一酸化炭素を毎月測定することで、1年の間継続して禁煙ができているかを調べました。

 その結果、ニコチン性アセチルコリン受容体遺伝子の1つであるCHRNA5遺伝子上の遺伝子多型(rs503464)が、禁煙療法の効果に関連があることがわかりました(※4)。

 これまでにも、ニコチン依存症や喫煙の傾向にいくつかの遺伝子が関連していることが示されていましたが、禁煙療法の効果に関わる遺伝子についても少しずつ明らかになってきたようです。今後の研究で、それぞれの人の遺伝型にあった禁煙薬なども提案されていくかもしれません。

 MYCODEでは、「アルコールとニコチンの共依存症」の遺伝的な傾向についてお調べしています。こちらもチェックしてみてくださいね。

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。
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