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遺伝子

ハイジのご先祖様?5300年前のアルプスのミイラを遺伝子解析!

公開日:2014年12月18日
更新日:2018年6月18日

  写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。 


ハイジのご先祖様、遺伝子検査を受ける

 1991年にイタリアのアルプス山脈の谷で見つかった約5,300年前の男性ミイラ「アイスマン」、近年このミイラのゲノム=全遺伝情報が解析されました。

 DNAを調べれば、その人の体質や疾患のなりやすさがある程度わかってくるというのが、遺伝子検査の考え方です。研究グループは解析したDNAをもとに、アイスマンの“遺伝子検査”を行い、体質や疾患のなりやすさなどを調べました。
 
 その結果、アイスマンは血液型がO型、瞳は茶色で、牛乳を飲むとお腹を下す体質であったであろう事などがわかりました。また、疾患のなりやすさという観点では、冠動脈性心疾患のリスクが高い体質にあったことがわかり、実際にこのミイラでは血管石灰化という冠動脈疾患の兆候が見つかったそうです。

 さらに遺伝子のパターンから、現代まで伝わった子孫を割り出すこころみも行われ、実際に19人の“アイスマンの末裔”を見つけることにも成功しました。
 ミイラの遺伝子からここまで様々な事がわかった、非常に興味深い例になります。

化石のDNAも解析できる時代

 今回紹介したように、近年の科学技術の発展により、化石からDNAを解析することができるようになりました。この分野は近年急激に発展をしており、「アイスマン」の研究以外にも、ヨーロッパのネアンデルタール人のDNAの研究がなされています。

 日本でも、縄文人などの化石DNAの研究が盛んになってきており、近い将来、我々の祖先である縄文人や弥生人がどのような特徴を持っていたのか、より詳細にわかるかもしれません。

 MYCODEトピックスではこれらのテーマも随時取り上げていきます。お楽しみに!


参考文献

Keller A et al. New insights into the Tyrolean Iceman's origin and phenotype as inferred by whole-genome sequencing.
Nat Commun. 2012 Feb 28;3:698. doi: 10.1038/ncomms1701.