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【認定遺伝カウンセラーコラム】健康診断の結果でよくみかける肝機能の指標「γGTP」、一体どんな意味があるの?

公開日:2019年2月27日

γGTPの値がどのような意味をもつのか、ご存知ですか?(写真:Shutterstock.com)

肝臓のはたらきと「γGTP」の役割

 肝臓は右上腹部にあり、成人では800~1200gの最大の臓器です。その機能には食物から摂取した栄養素を体内に貯蔵できる形に変換したり、必要なときにエネルギーとして取り出す代謝、身体に有害な薬物、アルコール、老廃物を無害化する解毒、そして胆汁の生成と分泌があります。

 健康診断や人間ドックでγGTP(ガンマ・グルタミルトランスぺプチターゼ)という検査項目がありますが、この検査値は肝臓の機能を反映しているって、ご存知でしたか。基準値は女性で10-30U/L、男性で10-50U/Lとされています(※)。γGTPは主に肝臓でつくられ、タンパク質を構成するペプチド末端のグルタミン酸を他のペプチドやアミノ酸に変換する働きをもつ酵素です。また、抗酸化作用のあるグルタチオンという物質の分解にも関与しています。

γGTP値が高いのはお酒の飲みすぎ?

 γGTPはアルコール摂取により産生量が増えるため、検査値の上昇は飲酒量の増加を反映するといわれています。

 一方で、γGTPの検査値には個人差が大きく、前述したとおり、男女ともに基準値に幅があることがお分かりいただけるかと思います。お酒を飲まない人でも高めに出たり、かなり飲む人でも基準値内に収まっている場合もあります。また、肝臓でつくられたγGTPは胆道を通過して胆汁中に排泄されますが、この通路が塞がっていると、血液中に多く漏れ出してγGTPの検査値が高くなることがあります。


 MYCODEでは「肝機能の指標(γ-GTP値)」の遺伝的傾向を知ることができます。



 それでは、健康管理にこの検査値をどのように利用したらよいのでしょうか。

 飲酒習慣がある方は一時的にアルコールの摂取を止めるとγGTP値はどうなるでしょう。γGTP値は飲酒していた時よりも低下していることが予想され、このときのγGTP値と飲酒による上昇分を知ることで、適当な飲酒量の目安にすることができるかもしれません。

 このようにγGTP値は飲酒量を反映し、肝臓への負担を表す検査値ということになりますが、注意しなければならないのはこれ以外の理由でγGTP値が上昇している場合です。抗てんかん薬、抗不安薬、抗菌薬などの服用、肝・胆道系の狭窄、肝臓の腫瘍やのう胞、糖尿病、高血圧、メタボリックシンドロームなどでも上昇することが知られています。

 肝機能の指標としてγGTP値をチェックすることは重要ですが、基準値の上限を超えた場合は何らかの疾患が隠れている場合がありますので、専門の医療機関を受診することをお勧めします。


執筆者
認定遺伝カウンセラー 藤田和博
プロフィール:昭和大学藤が丘病院での先天異常、血液腫瘍の遺伝子・染色体検査の経験を生かし、現在は大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科教授として臨床検査学教育と研究に従事。
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