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妊娠しても吸っちゃう私が禁煙できる!?セラピーよりも効く驚きの治療法とは

公開日:2015年5月2日
更新日:2019年11月1日

 やめられないたばこ!妊娠中は吸っちゃダメって言われても、セラピーを受けてもだめだった・・・そんな私もお金あげるって言われたら?


妊娠していても吸ってしまう人に有効な禁煙治療とは!?(写真:Shutterstock.com)

絶対に禁煙なんてムリ!?

 
 がん、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、胃潰瘍、お肌のシミやシワ・・・たばこを吸えば明らかに体に悪いと分かっているのに、なぜやめることができないのでしょうか?

 たばこの恐ろしさは脳に直接働きかけるところだといわれます。たばこを吸うと、集中できてすっきりすると言う人がいるかもしれませんが、実は、吸わないとすっきりせず気持ち悪くなるようになってしまうのです。

 そうなってしまった脳は、たばこを吸いたいという欲求を抑えることができず、たった15分間の禁煙でも、その時間が途方もない時間のように感じるくらいにつらくなってしまうというから恐ろしいです。

 とはいえ、禁煙が難しい人はもう打つ手はないのでしょうか?このつらい状況を打ち勝つことができるかもしれない、ある方法が研究されました。

お金をあげると言われたら禁煙できる!?

 調べたのは、ずばり、ニンジン作戦の効果。英国グラスゴー大学の研究グループは、喫煙者がお金目的であれば禁煙できるかのではないかと考え、調査を行いました。

 調査の対象としたのは、妊娠してもたばこをやめられない女性。妊娠中のたばこはお腹の赤ちゃんに酸素を供給できなくなり、赤ちゃんの低体重や流産の原因になるので、特に禁煙してもらいたい人たちです。  

 研究グループは、専門家による電話や面接、ニコチン置換治療といった妊婦のための禁煙セラピーに加えて、現金での報酬の効果を調査しました。喫煙の指標として、息に一酸化炭素が含まれる濃度を測定し、7ppm以上だった612人の妊婦に研究に参加してもらいました。

 参加者をランダムに2つのグループに分け、片方のグループには禁煙セラピーのみをうけてもらい、もう片方にはセラピーだけでなく、禁煙が継続すると報酬(最大報酬は7万3千円)を与え、それぞれのグループの禁煙率を調べました。

現金なやつ、とはいうけれど

 結果として、報酬を受け取って禁煙したグループは、通常のセラピーのみのグループよりも禁煙できる人が多かったそうです(※)。セラピーのみのグループでは禁煙に成功した人が8.6%だったのに対し、報酬を受け取ったグループでは22.5%となりました。

 世の中お金か、と言ってしまいそうな結果ですが、健康はお金にも何にも変えられないと思えるようになれば、禁煙も進むのかもしれません。


監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
Tappin D, Financial incentives for smoking cessation in pregnancy: randomised controlled trial., BMJ.

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