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【医師によるコラム】コーヒーで寿命が延びるのは何故か?
コーヒーは複数の病気に対して予防効果があるという報告がある一方で、胃がんの発症リスクを高めるという報告もあります。コーヒーは日本人の健康にとって良いものなのでしょうか?日本人を対象とした大規模な研究が行われ、コーヒーの効果が報告されました。
何気なく飲んでいるコーヒーに寿命を延ばす効果が期待できるのなら・・・(写真:Shutterstock.com)
医師の石原藤樹先生によるスペシャルコラムをお届けします!
今回は「コーヒー」に関するお話です。日本の研究グループは、習慣的なコーヒー摂取と主要な死因との関係を明らかにするために、日本人約9万人を対象とした大規模な調査を行ったそうです。
コーヒーを飲むことにより心臓病や脳卒中、肺疾患による死亡リスクが減少
こんにちは。六号通り診療所の石原です。
先日コーヒーで寿命が延びる、というような報道がされました。
これは今年5月のAmerican Journal of Clinical Nutritionという医学誌に、日本の「多目的コホート研究(JPHC Study)」という、大規模な調査の結果の一部として、発表されたものです(※1)。
実は2012年にも、The New England Journal of Medicineという一流の医学誌に、同じような研究結果が報告されています(※2)。
どちらもコーヒーを1日平均何杯飲むのかと、その後の寿命や病気との関連を見たもので、結論としてはコーヒーを沢山飲む人の方が、それだけ亡くなる率が低かった、いう結果になっています。
大体1日6杯くらいまでは、飲んでも悪い結果は出ていません。
今回の日本の研究では、特に心臓病や脳卒中、肺疾患による死亡が減っています。
複数の信頼性の高い研究の結果が、一致しているのですから、これは事実である可能性が高そうです。
コーヒーは抗炎症作用や抗がん作用の効果も期待できる
それでは、何故コーヒーで病気が減るのでしょうか?
コーヒーにはニコチンが含まれていて、交感神経の刺激作用があるので、その点だけを見ると、心臓の病気をむしろ増やしてしまいそうです。
しかし、コーヒーにはフラボノイドと呼ばれる、多くの生理活性物質が含まれていて、抗酸化作用を持ち、コーヒーの成分により体の炎症が抑えられ、抗がん作用も認められた、というような報告もあります。
こうした生理活性物質が、その答えなのかもしれません。
この問題はまだ研究中なので、コーヒーが健康に良いとは、まだ断定するのは危険ですが、コーヒー好きの方は、1日6杯くらいまでは、胃腸の調子には気を付けながら、安心して飲んでも良さそうです。
執筆者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。
参考文献
※1. Saito E, Association of coffee intake with total and cause-specific mortality in a Japanese population: the Japan Public Health Center-based Prospective Study., Am J Clin Nutr.
※2. Freedman ND, Association of coffee drinking with total and cause-specific mortality., N Engl J Med.