• コーヒー
  • 紅茶
  • 卵巣がん
  • 前立腺がん
  • 胃がん
  • 悪性黒色腫
食事・生活

コーヒーと紅茶でどんながんも予防可能!?

公開日:2015年1月30日
更新日:2020年9月19日

コーヒーと紅茶。日ごろから愛飲する人も多いはず(写真:Shutterstock.com)

コーヒー、紅茶はがん予防に効果あり? 効果なし?

 皆さんの中には、コーヒーや紅茶を毎日飲んでいる、という方も多いのではないでしょうか?これらの飲み物については、多くの研究から様々な健康への効果が期待されています。

 中でもがんについては、これらの飲料の与える影響についての研究は活発で、がんの種類によって効果があるといわれているものや、ないといわれているもの、様々な研究が報告されています。

 MYCODEトピックスでも、以前に「女性必見!女性特有のがんのリスクを下げる食品が判明」で、紅茶が卵巣がん予防に効果的、という報告をお知らせしました。また、コーヒーについても、前立腺がんや、上部気道消化管がん(口、のど、食道の上部分にできるがん)についての予防効果が報告されています(※1, 2)。

 しかし一方で、胃がんについては、むしろコーヒーでリスクが高まるという報告もあり、コーヒーや紅茶が、がんに対してどのような効果を持つのか、まだまだ分からないことも多いというのが現状のようです。

悪性の皮膚がんであるメラノーマとの関連

 米国マサチューセッツ州立大学アムハースト校の研究グループは、悪性の皮膚がんの一種で、生存率が低く、他のがんと比べても厳しいと知られる「メラノーマ」の発症リスクについて、紅茶やコーヒーの摂取量との関係について調査しました。

果たして、コーヒーや紅茶の効果は・・・?

 研究グループは、6万6484人の閉経後の女性を対象に3年間の追跡調査を行い、コーヒーおよび紅茶をどれくらい飲むかをアンケートしました。その上で、メラノーマにかかったかどうかとの関連性について調べました。

 結果からいうと、今回の調査ではコーヒーを毎日飲む人または紅茶を毎日飲む人と、それぞれを毎日は飲まない人の間にはメラノーマのリスクに大きな差があるとは言えなかったようです(※3)。コーヒーを毎日飲むと報告した人は、ある時点ではリスクが低下する傾向が見られたものの一貫性がなく、はっきりとしたことは明らかになりませんでした。

 研究者たちはコーヒーや紅茶を飲む量が増えた場合についても調査しましたが、メラノーマのリスクに対して意味のある傾向は認めることができなかったようです。

 残念ながら今回の報告では、メラノーマに対するはっきりした効果は証明できなかったようですが、最初にもお伝えしたように、他のがんや生活習慣病ついては予防効果が報告されています。

 コーヒーも紅茶も毎日の生活に取り入れやすいものだけに、今後も研究の成果について、注目していきたいところです。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

※1. Zhong S, Coffee consumption and risk of prostate cancer: an up-to-date meta-analysis., Eur J Clin Nutr.
※2. Oze I, Coffee and green tea consumption is associated with upper aerodigestive tract cancer in Japan., Int J Cancer.
※3. Wu H, Coffee, tea, and melanoma risk among postmenopausal women., Eur J Cancer Prev.