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細切れでもいい?強度が高いほど痩せる?有酸素運動の〇と×

公開日:2020年5月14日

有酸素運動を無理なく続けるには?(写真:Shutterstock.com)

 今回は、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」より、有酸素運動についての記事をお届けします。


 身体中についてしまった脂肪を燃やすには、食事のコントロールと運動が不可欠です。しかし、運動といってもウェイトトレーニング、自体重トレーニング、各種スポーツなどかなりの幅があります。その中でも特にダイエットでオススメしたいのが有酸素運動。ジョギングのように息がやや弾む程度のペースで、リズミカルに行うことができるトレーニングのことです。

 ただ、学生時代のキツイ持久走や体育のイメージからか、なかなか始めるのに勇気がいるようです。そこで、この記事では、有酸素運動の基本を〇×形式で紹介していきます。

 ぜひこの記事を読んで、始めるきっかけにしてください。

有酸素運動のハードルは高くない!やる気が出てくる〇×チェック

〇 ダイエットを始めるなら、まず筋トレよりも有酸素運動がいい

 よく言われる筋力トレーニングと有酸素運動、どちらを行うべきかというお話。筋トレで筋肉をつけると代謝が上がるから、長い目で見ればダイエットになるのは本当です。しかし、筋トレと有酸素を両立させようとすると、時間が足りないというのも本音です。

 そこでどちらかを選ぶなら、有酸素運動を選ぶのがベスト。有酸素運動を行うことで、身体はエネルギーとして体脂肪の分解を促すし、何よりも酸素を介して体脂肪を確実に燃やす効果が望めます。また、筋トレに比べて強度が低い(≒疲れにくい)ことから、続けやすいという特徴もあります。

 二者択一で、どちらから始めた方がいいのか、と悩んだ時には有酸素運動から始めましょう。

〇 たった1分でも体脂肪は燃える!

 有酸素運動の大きな神話の中に「20分続けないと効果がない」というものがあります。しかし、そんなことはありません。運動のエネルギー源は主に糖質と脂質になります。このエネルギーはじっとしている時でも使われ続けていて、足りなくなれば順次、体脂肪を分解してエネルギーとして使っていくのです。つまり、例え1分でも運動をすればエネルギーは消費され、何もしない時よりも体脂肪を燃やすことが可能となります。

 「20〜30分の時間が取れないから運動しない!」と思っていた方は、まずその考えを改めるところから始めてみましょう。20分×1回でも、5分×4回でも消費する体脂肪量は、そんなに変わらないのです。例えば通勤で1駅分歩くなど、ほんの少し取り入れるだけでも、効果的ですよ。

× 強度を上げるほど体脂肪は燃える!

 一度始めてみるとついついハードにトレーニングしたくなるのが人の常です。一流の運動選手なら追い込む意味がありますが、ただダイエットをしたいだけなら頑張りすぎない方がお得。
 
 そもそも運動強度を上げて、辛いトレーニングをしても長くは続きません。その上、短距離走レベルまで心肺を使用する無酸素領域まで強度を上げてしまうと、エネルギー源として脂質が使われにくいとされています。実は、一般的に身体のエネルギー源は、運動強度が低いほど脂質が使用され、高くなるほどに糖質の割合が高くなるというトレードオフの関係なのです。
 
 最も脂質が使われる強度は、「隣の人とおしゃべりしていてもギリギリ息切れしない程度」のペース。これくらいの方が、辛くもないので、長く続けられるはずです。

〇 休みながらでも脂肪燃焼効果はある

 前述の通り、例え1分でも運動すれば体脂肪は燃えてくれます。しかし、長く続けるほどにたくさんの量を消費できるのも間違いありません。そう言われると長い時間運動を続けたくなりますが、ちょっと待ってください。休みながらでも体脂肪は燃えるのです。

 運動に慣れていないうちは、5〜10分で膝や腰などが痛くなるケースもあります。また息切れで辛くなることも。そんな時には積極的に休憩を入れていきましょう。そうやってトータルの時間を伸ばす方が、最終的にはたくさんの体脂肪を消費することができます。

 苦しくなったらいつでも休める。そう思うだけでグっと始めるハードルも下がりますよね。

× トレーニングは朝がいい

 少し古いですが、映画『ロッキー』のイメージからか、有酸素運動=早朝のランニングという人も多いはず。しかし、少々肩透かし気味ですが、実は行う時間によって消費カロリーがそこまで変わることはありません。

 厳密に生理学的に考えると1日のうちで体温がピークを迎える午後4〜6時に有酸素運動を行うのがベストです。とはいえ平日のその時間に運動できる人は一握りです。むしろ、あなたが続けやすい時間に、しっかりと、長く続けられた方がダイエット効果が高いもの。あなた自身が朝型の生活をしているのか、夜型の生活をしているのかでも変わってきます。とりあえず、最もストレスを感じないであろう時間帯から始めるのがベストでしょう。

× 回数を増やすほど効果的である

 エネルギーを運動で消費する以上、週2回よりも3回、4回と行った方が当然効果は高いもの。また、運動時間は同じでも、それを週1回しかやらないのと、3〜4回に分けて行うのでは、1週間トータルで運動刺激が入る回数が増える関係上、体脂肪を燃焼しやすい身体になるとされています。

 そうはわかっているものの、回数を増やしすぎるのはオススメできません。それはモチベーションに関係するから。誰でも運動したての頃はモチベーションが高いため、回数を多くこなせるかもしれません。しかし、だんだんと意識が下がってきた時に、その頻度を苦痛に感じてしまうことが多いのです。そうなると、サボってしまい、そのまま脱落、ダイエット失敗へ・・・という危険があります。

 まずは週2回から。楽しさがわかってきてからどんどん回数を増やしていけば、飛躍的に効果が上がってくるはずです。

△ 食事は有酸素運動の2時間前には終えておく

 お腹を減らしたまま運動すべきか、それとも栄養補給を済ませてから動くべきか。なかなか悩ましい問題ですが、本来のベストは運動の2時間ほど前に食事を済ませておくことです。それくらいの時間帯に食べておけば、エネルギー不足で苦しむことも、満腹で気持ち悪くなることも少ないからです。

 とはいえ、回数の話と同様、あまりルールを作りすぎても息苦しくなってしまいます。空腹で走った方が体脂肪の燃焼効率はいいですし、逆に食べておけば長い時間運動できます。一流選手を目指すわけでもないので、好きな時間に食べ、好きな時間に動くのが一番。とにかくのんびりやってみましょう。

〇 痩せたいなら普通歩きよりも早歩きに

 有酸素運動の一環として近年見直されているのが「歩き」。kencomでも有酸素運動の第一歩としてウォーキングをすすめていますが、ダイエット目的ならば行う際に少し工夫することが大事になります。

 その工夫とは「早歩き」です。

 本来ウォーキングはランニングに比べて運動強度が低く、燃やせるカロリーも大雑把に言ってランの半分以下と言われています。また、筋肉を増やす、代謝を上げるといった体質改善作用を得るためには、日常生活を上回る負荷(過負荷)が必要にもなります。

 ところが、早歩きを行うことでこれらの問題点を一気に解決することができます。多少息切れする程度の早歩きを行えば、運動効率はランニングに迫る勢いになりますし、負荷も上げることができるからです。

 歩く時のコツは、背筋を伸ばして、少し大股気味に行うこと。これだけで運動強度が上がりますし、姿勢改善効果も望めちゃいますよ。

ストレスを減らし、長く続けるのがカギ

 有酸素運動の基本について紹介してきましたが、特に気になるのがどれくらいで痩せるのかということではないでしょうか?ただ、初めから結果ばかりに目を奪われていると、運動を続けるのが辛くなるもの。それよりも、毎日続く工夫をして、楽しく続けられるようにしましょう。

 ポイントはとにかくストレスを感じない環境づくり。休んでも、楽なペースでもOK。とにかく続けることを意識しましょう。

 なお、例え週2〜3回の運動を取り入れた場合、一般的に3週間程度続けることで内臓脂肪が減り始め、しっかりと体つきや体重の変化に繋がるまでには1〜2ヵ月はかかります。その点から考えても、微妙な体重変化で一喜一憂するよりも、有酸素運動が続いているかどうかを目標に続けてみるのがいいかもしれません。

 さあ、早速今日から始めてみましょう!

監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
※1. 韓一栄, 間欠的な有酸素運動における運動中および運動後の酸素摂取動態, 日本体育大学スポーツ科学研究
※2. 日本体力医学会体力科学編集委員会監訳, アメリカスポーツ医学会「運動処方の指針」(原著第6版), 南江堂
※3. 田中宏暁, 賢く走るフルマラソン, ランナーズ
※4. 厚生労働省, e-ヘルスネット「エネルギー代謝の仕組み」

記事提供元
MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「細切れでもいい?強度が高いほど痩せる? 有酸素運動の〇と×」を一部改編。
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