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【管理栄養士コラム】睡眠の質と量を改善 〜仕事の能率やストレスとの付き合い方を学ぶ!~

2018年10月17日 09時00分

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適切な睡眠時間の傾向についてご存知でしょうか?(写真:Shutterstock.com)

 現在のご自身の睡眠について、どのように感じていらっしゃいますか?近年、睡眠時間や質の話題が多く、睡眠が生活の質や日々の疲労感、ストレスにも影響していることがわかってきました。今回は、ご自身の睡眠状態について振り返っていただくために、睡眠の種類と役割についてお伝えします。

1.睡眠時間ってどれぐらいとると良いの?

 皆さんの睡眠時間はどれぐらいでしょうか?また、睡眠時間の長短による体調不良を感じたことはありますか? 「すべての人にとってベストな睡眠時間」は、明確になっていませんが、いくつかの傾向がわかってきました(※1)(図1)。
 ① 睡眠時間が6.5~8時間未満だと、健康を害する人が最も少なかった。
 ② 睡眠時間が短くなるほど健康を害するリスクが高まる。
 ③ 個人差はあるものの、多くの人の健康に良いとされる睡眠時間は7時間前後と考えられる。
 ④ 長時間睡眠であっても、健康を害するリスクが高まる。

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図1. 睡眠時間と健康被害のハザードリスク(※1)

 現在、短時間又は長時間睡眠であり、特に多忙による「短時間睡眠」が今後も続く方は、健康を維持する上で対策を練ることをお勧めします。次項でご説明する睡眠の質も理解しつつ、改善の重要性を深めていきましょう。

2.睡眠の質に影響するノンレム睡眠とレム睡眠とは

 睡眠の質で話題となることが多い「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」とは、どのような状態なのでしょうか。以前は、自分の睡眠を確認することは難しかったのですが、近年、おおよその睡眠状態が分かるスマートフォンアプリも開発されています。睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」の眠りを約90分の単位として構成されています(図2)。睡眠前半は深い睡眠であるノンレム睡眠が多く、後半になるにつれてレム睡眠の割合が増えていきます。

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図2. 経過時間別の睡眠の種類(※2)

① ノンレム睡眠
 ノンレム睡眠はレム睡眠より「深い睡眠」の状態で、その中でも軽睡眠とより深い「徐波睡眠」に分けられます。

〇不足による作業の正確性の低下
 徐波睡眠の役割のひとつとして、脳を休ませることが挙げられます。徐波睡眠が不足すると脳の働きがスムーズではなくなり、日中の作業の正確さが低下することがわかっています。その影響は、交通事故を起こす可能性が高まることでも知られています(※2)。忙しい時期こそ仕事の能率UPや様々な事柄を無事故で過ごすことを考慮し、徐波睡眠を確保することを意識しましょう。

〇体の疲労回復に貢献
 徐波睡眠のもう一つの大きな役割は、徐波睡眠時に成長ホルモンの分泌量が増加することが挙げられます。この成長ホルモンは、体の細胞や体組織の回復に欠かせないため、入眠と共に得られる徐波睡眠は日々のだるさや運動による筋疲労等からの回復に、とても重要とされています(※2)。

 日々、脳や体をメンテナンスする上で、睡眠の入り口の過ごし方を大切にすると共に、深い睡眠(徐波睡眠)中に、無理やり起きなければならない状況は避けたいところです。

② レム睡眠
 レム睡眠は、ノンレム睡眠とは異なり、睡眠が浅く、夢をみることが多いといわれています。このレム睡眠では、脳が活性化されるといわれており、その活性化された脳の一部がさまざまな記憶の情報をつなげることで、夢をみるとされています(※3)。
  
〇情動ストレス(対人関係によるストレス)との関連
 近年の研究で、レム睡眠は情動ストレス(対人関係によるストレス)と関与していることが報告されています。睡眠時間が短いと、生きていく上で必要な生体機能の回復に効果があるノンレム睡眠が優先され、レム睡眠時間が短くなります。ある研究では、レム睡眠が短い日が5日間続いた状態に、不快なストレスを与えたところ、不安や抗うつが強まったとされています(※4)。
 また、レム睡眠時に、日中に受けたネガティブなストレスを低下させる可能性もあるといわれています(※5)。

 対人関係などで受けるストレスと上手に付き合う上でも、レム睡眠がとても重要なことがわかります。レム睡眠は、一定の睡眠「時間」の確保が重要ですので、生活リズム全体の見直しが重要です。

3.知識や技術の取得には、睡眠がカギを握っている! 

 現在、ご自身の成長・上達を目指して取り組んでいることはありますか?頑張りすぎて睡眠を後回しにすることはないでしょうか。努力した分の成長を得るには、睡眠が欠かせないことがわかってきました。

 日中に学習した知識や技術が、睡眠をとることで、身につきやすくなることが明らかにされています。ある研究では、野球で苦手なプレーを繰り返し練習した後睡眠をとることで、この苦手な動作が改善され、夜更かしなど睡眠を後回しにすると、その効果はほとんどみられなかったことが報告されています(図3)。練習をした当日の睡眠が、「記憶の強化」に関与しているといわれています(※2)。

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図3 断眠の記憶への影響(※2)

 つまり、記憶の現象には睡眠が関係しており、日中の情報を整理したり、記憶を固定させたり、過去の記憶と関連付けたりすることによって、知識や技術が定着するようです。
 スポーツのみならず、学習や、仕事でマスターしたいことがある場合は、睡眠のとり方を見直してみるとスムーズにステップアップできるかもしれません!

4.快眠で、上手にノンレム・レム睡眠を!

 睡眠は1日のみ意識するのではなく、毎日の習慣にすることが大切です。寝付きを良くし、睡眠の質を上げるためのコツをご紹介します。

① 起きたら光を浴び、朝食をとる
 朝に光を浴びることで体内時計を調節し、夜に寝付くタイミングを整えます(※6)。また、朝食を食べることで脳や体を目覚めさせることができます。

② 運動習慣をつける
 運動すると、寝付きが良くなる、深い睡眠が得られる、途中で目覚めることが少なくなるといわれており、運動習慣がある人は、ない人と比べて不眠が少ないといわれています(※7)。
 体への負担が軽く、長続きするような有酸素運動を中心に取り組んでみましょう。また、睡眠直前の運動は、体を興奮させ寝付きが悪くなるともいわれていますので、自覚症状がある方は避けるようにしましょう。

③ 睡眠3時間前からの過ごし方を整える
・食事による消化活動は、睡眠を妨げます。食事は、就寝の2時間前までに済ませるようにし、それ以降になる場合は、消化の遅い脂ものは避けるようにしましょう。
・カフェインには覚醒作用があり、寝付きを悪くします。この作用は摂取後3時間近く持続する(※6)といわれていますので、気になる方は、摂取するタイミングをコントロールしましょう。
・喫煙は、ニコチンに覚醒作用があることから入眠を妨げ、睡眠を浅くします。
・アルコールは寝付きを良くしますが、睡眠の後半で覚醒作用が出現し、眠りが浅くなることから熟睡感が得られません。飲酒によって睡眠の質は低下するといわれています(※2)。

 私たちは、睡眠に一生の約1/3の時間を費やしています。睡眠は、休むためだけではなく、健康維持・増進や、生活の質、ストレスの状態を調節するためにとても大切な時間です。ご自身の睡眠を見直すために、専用のアプリなどで可視化してみるのも良いかもしれません。慌てずゆっくりで良いので、充実した睡眠を目指していきましょう!