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【管理栄養士コラム】LDL(悪玉)コレステロールが高い原因とその対策

2018年02月22日 10時00分

健康診断でも登場するLDL(悪玉)コレステロールの値が高いと引き起こされる病気、高くなる原因・対策について詳しく解説します。


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どのような脂を避け、どのような油を選ぶと良いのか知っていますか?(写真:Shutterstock.com)

 健康診断で、「脂質異常症です」と声をかけられたことはありませんか?脂質異常症とは①LDL(悪玉)コレステロールが高い、②中性脂肪が高い、③HDL(善玉)コレステロールが低い状態を示す病気のことです(※1)。
 
 中でもLDLコレステロールが高い状態が続くと、心筋梗塞や脳梗塞、認知症など、さまざまな病気になりやすくなります。今回はこのLDLコレステロールをテーマにお伝えしていきましょう。

1. LDLコレステロールが高いと、なぜいけないの? 

 血液中のコレステロールは、HDLコレステロール(善玉)とLDLコレステロール(悪玉)とがあり、それぞれに役割があります。
 
 LDLコレステロールが増加すると、血管の内膜に入り込みコブ(プラーク)のように沈着していきます(図1)。この状態は、自覚症状がほぼありません。「これぐらいは、たいしたことがないだろう」と放置していると、次第に血管の内側がせまくなって血液が通りにくくなります。ある日、血栓が血管をふさぎ、突然発作が起こるのが心筋梗塞や脳梗塞です(※2)。

 一方で、健康診断などでLDLコレステロールが高いと指摘されても、3ヶ月~半年程度の生活習慣の改善で値が改善されることは良くあります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが減少することも確認されていることから、LDLコレステロールを基準値に向けてコントロールすることは非常に重要といわれています(※1)。

 ちなみに、善玉といわれているHDLコレステロールは、血管内に余ったコレステロールを肝臓に回収する働きがあります。同じコレステロールでも、HDLコレステロールは、少ない方が問題だとされています(基準値40㎎/dl以上)(※1)。

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図1. LDLコレステロールとプラークの形成

2. LDLコレステロールの基準値とその対応

 LDLコレステロール値は、健康診断や病院での血液検査で把握することができます。コレステロール値が140㎎/dl以上で高LDLコレステロール血症と診断されますが、特に180㎎/dl以上の場合は、出来るだけ早く医師に相談するようにしましょう(表1)。120~139㎎/dlの境界域型高コレステロール血症は、他に病歴がない場合は、まず生活習慣の改善を目指すことが推奨されています。

 高血圧や糖尿病などをすでに発症している場合は、服薬など治療を優先することもありますので、主治医の指示に従うようにしましょう(※3)。

表1. LDLコレステロールの基準値と対応

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(※1, 3より作成)

3. LDLコレステロールが高くなる原因

 LDLコレステロールが高くなる原因は、主に体質(遺伝要因)、食生活の欧米化や運動不足、肥満、喫煙などがあげられています(※1)。

 一般的な高LDLコレステロール血症は生活習慣や肥満の影響が大きいのですが、200~500人に1人の割合で、生活習慣と関係なく発症する家族性高コレステロール血症(遺伝性疾患)と診断されています。この家族性高コレステロール血症に気づかずに放置していると、若い年齢(30~50歳程度)で心筋梗塞などを発症する可能性が高くなります。年齢関係なくLDLコレステロール値が180㎎/dl以上の場合は、必ず病院を受診するようにしましょう(※1)。

 また、生活習慣の影響が大きい一般的な高LDLコレステロール血症でも遺伝の影響(体質)があるといわれています。ご興味ある方は、遺伝子検査MYCODEで調べることができます。
注意:遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症は、MYCODEで調べることはできません。

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 一般的な高LDLコレステロール血症の場合は、遺伝的に高くなりやすいタイプであっても、必ず高値になるわけではありません。体質を知ったうえで環境要因である食事や運動、肥満、喫煙などの生活習慣を振り返るなど予防を心がけることが重要です。

4. LDLコレステロールに関わる栄養素と食品

 血液中のLDLコレステロール値の増減に関係している栄養素や食品が話題になることが多くなりました。その中で根拠が明らかになっている4項目について、表2に示しました(※2,4)。

 以前は、コレステロールを多く含む食品(例えば卵黄など)は、なるべく食べない方が良いといわれていましたが、近年は、コレステロールを多く含む食品は、飽和脂肪酸も多く含んでいるので、その影響が強いのではないかともいわれています。また、コレステロールは体内でも合成されますが、食事からとるコレステロールは体内で合成されるコレステロールの1/3~1/7程度でしかないといわれています(※4)。病気予防の観点では、1日1個程度の卵を制限するという考えよりも、コレステロールと動物性脂肪両方を多く含む肉の脂身などの摂取頻度と量を優先して改善することをお勧めします。

表2.血中LDLコレステロールに影響を及ぼす栄養素と食品

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(※2, 4より作成)

5. LDLコレステロールを上げる脂と下げる油

 私達の身近に、肉の脂身、乳製品の脂肪、あぶらがのった魚や調理油、オリーブ油など、たくさんの“あぶら”があります。これまでは、体重管理や病気予防に「あぶらはたくさんとってはいけない」などの情報が一般的でしたが、最近は“どのような脂を避け、どのような油を選ぶと良いのか”が重要だといわれるようになりました。

 “あぶら”はいくつかの脂肪酸でできていますが、脂肪酸の構造の違いによりLDLコレステロール値を増減させることが知られています。代表的な脂肪酸は大きく3つに分類されます(図2)。まず、常温で固まる飽和脂肪酸(例:肉の脂身やバター、チーズ等の乳製品)と、常温で液体の不飽和脂肪酸に分けられますが、飽和脂肪酸はLDLコレステロールを上昇させ、不飽和脂肪酸はLDLコレステロールを低下させるといわれています。また、不飽和脂肪酸はさらに一価不飽和脂肪酸(例:オリーブオイル等)と多価不飽和脂肪酸(魚油、えごま油、アマニ油、植物油)に分けられます(※2,4)。

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図2. 脂質の分類

6. 不飽和脂肪酸のLDLコレステロール改善効果

 不飽和脂肪酸は、一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分けられますが、LDLコレステロール値の改善には、多価不飽和脂肪酸の方が効果が大きいといわれています(※4)。

 では、効果の高い多価不飽和脂肪酸は、どれぐらいの量をどれぐらいの期間、どのようにとると良いのでしょうか。ある研究をご紹介したいと思います(※5)。

 ある集団に対して、1日の摂取エネルギー量(kcal)を一定に保ちながら、摂取エネルギーの5%の炭水化物を飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に置き換えました。その食事状況を13~91日間継続した際の血中コレステロール値の変化を観察しています。

 その結果、飽和脂肪酸に置き換えた集団は、血中LDLコレステロール値が6.2㎎/dl上昇し、多価不飽和脂肪酸に置き換えた集団は、3.7㎎/dl減少したと報告されています(図3)。この研究より、血中LDLコレステロール値のコントロールには、適正な1日の摂取エネルギー量のもと、以下2つが重要ということがわかりました。

①飽和脂肪酸を多くとると(増やすと)LDLコレステロール値が上昇する

②炭水化物を多価不飽和脂肪酸に置き換えるとLDLコレステロール値が減少する
*イメージ:1日2000kcal摂取想定で、ご飯70g(女性用お茶碗半分程度)減らして魚料理を1回分追加。日本人の食事摂取基準でも、飽和脂肪酸の摂取量を制限するだけでなく、多価不飽和脂肪酸の摂取量を同時に増加させることが重要とされています(※4)。

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図3. 総エネルギー摂取量を一定にしながら炭水化物をそれぞれの脂肪酸に置き換えた時の血清脂質濃度の変化

7. 魚に多く含まれるEPA・DHAを効果的にとるには

 近年、“魚をとりましょう! 魚のあぶらが良い! ”と耳にすることが多くなりました。魚に多く含まれる脂肪酸のEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)は、LDLコレステロール値の改善効果があるといわれている多価不飽和脂肪酸(n-3系脂肪酸)に含まれます。

 では、どれぐらい魚を食べると良いのでしょうか。ある研究では、このEPAとDHAを合わせて0.9g/日とることで、心筋梗塞のリスクを低下させたと報告されています(※4)。EPA+DHA0.9gをとるための魚の種類と1回の目安量を表3にまとめました。同じ魚でも鮮度が良く、あぶらがのった旬の時期には、より多くのEPA・DHAが含まれていますし、調理法によっても異なります。

【ポイント】
 ・青魚を積極的に選ぶ
 ・あぶらをそのままとることができるお刺身の頻度をあげる
 (青魚だとお刺身1~2枚程度でOK)
 ・旬の魚をサッと塩焼きで1切
 (朝食のおかずやおつまみに焼き魚やシシャモもおすすめ)
 ・缶詰を常備
 (夕食の小鉢用にサバやイワシ、サンマの缶詰、サラダや和え物にツナ缶を)

表3. 魚の種類と1日にとりたい目安量

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(文部科学省「日本食品標準成分表2015年(七訂)脂肪酸成分表(※6)」に基づき計算)

 一方で、魚によっては水銀やダイオキシンなどの環境汚染物質が含まれることや、魚の漁獲量が減少していることから、将来はα‐リノレン酸(えごま油・アマニ油・しそ油)が注目される可能性があるといわれています(※4)。ただし、α-リノレン酸の過剰摂取による健康リスクがまだ不明確なことから日々の摂取量には注意が必要です。

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