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食事・生活

「なぜ人は太るのか」〜脂肪のことを詳しく知ろう!〜

2021年04月15日 09時00分

肥満につながるメカニズムとは?必要な脂肪と減らすべき脂肪について知ろう(写真:Shutterstock.com)

 日本人の肥満の割合は、平成28年の調査によると男性で31.3%、女性で20.6%となっています(※1)。食べたいものが簡単に手に入り、そんなに動かずとも目的が達成できる現代では、肥満になるのも無理からぬこと。いやいや、そんな説明じゃ納得いきませんよね。

 なぜ食べたいものを食べて動かないと、肥満になるのでしょうか。そもそも、肥満でつくと言われる脂肪とは一体なんなのか。その正体と肥満につながるメカニズムを紐解いてみましょう。

【脂肪から肥満のことを考えてみよう】

脂肪とは「白色脂肪細胞」のこと

 「身体に脂肪がついちゃった」という言葉は、肥満になった、太ったという言葉と同義に使われています。いつの間にか一般用語のように使われている脂肪ですが、一体、身体のどの部分を指すのでしょうか。

 実は脂肪と言っても、体脂肪や血中脂肪など様々な種類が存在するのです。その中で、特別に肥満の原因となるのが体脂肪になります。体脂肪と呼ばれるものは、ほぼ「白色脂肪細胞」と呼ばれるものでできています。その数およそ300億個! 

 白色脂肪細胞の中に脂肪滴と呼ばれる油の形で蓄えられているのが中性脂肪です。中性脂肪が増えることで白色脂肪細胞自体が膨らみ、体脂肪が大きくなり、肥満につながっていくわけです。そのメカニズムは次の通り。

白色脂肪細胞は3倍の大きさまで膨らむ!

 ちょっと理科の授業っぽい話をします。白色脂肪細胞も「細胞」とつくだけあって、細胞核やミトコンドリアといった細胞内小器官を備えていますが、その体積の大半は脂肪滴。通常の脂肪細胞は直径0.08mm程度ですが、脂肪滴を限界まで吸い込むと直径は0.13mmまで膨らみます。体積にすると約3倍に膨れ上がるのです。

 白色脂肪細胞は全身に存在しているので、それが膨らめばその分全身も膨らむわけです。

【衝撃! 脂肪はないと生きられない?】

脂肪の役割はエネルギー貯蔵庫

 憎き体脂肪が身体に存在する細胞のことであることはわかりました。ではなんのために存在しているのでしょうか。その最大の役割は全身を動かすためのエネルギーを貯めておくことになります。脂肪1gに蓄えられるエネルギーは9kcalと、筋肉などのエネルギー貯蓄量(4kcal)に比べて倍以上の効率の良さ。

 これにより、人は長時間活動できるようになったのです。しかも、このエネルギーは食事後に使い切れなかった糖質を脂肪滴に変えて保存しています。身体のエネルギーを無駄なく貯め、必要な時に使う大事なエネルギータンクなのです。肥満は、このタンクに貯めすぎている状態のことを指すわけです。

 ちなみに、脂肪には他にも体温の維持機能や、他の細胞の材料としても使われています。また、最新の研究では脳内物質などの内分泌をコントロールする役割もあることがわかってきました。つまり、体脂肪がなければ我々は生きていけないわけです。

脂肪はつく位置で名称と役割が変わる

 そんな体脂肪ですが、身体のどこにつくかによって2種類に分かれます。それが、内臓脂肪と皮下脂肪です。この2つ、位置が違うだけで機能が大きく異なります。それぞれ見ていきましょう。

内臓脂肪について知ろう!

 お腹の中の内臓周りにベッタリとついているのが内臓脂肪で、お腹の中で腸管を支える「腸間膜」についていきます。腸間膜は血管が多い場所なので、内臓脂肪は腸管や身体全体とも盛んに血流のやりとりがあるのです。そのため、簡単に脂肪滴をためこみやすく、逆に分解して素早くエネルギーに変えることもできる脂肪です。

 内臓脂肪はエネルギー供給基地の働き以外に、アディポサイトカインという物質を分泌する役割もあります。この物質は善玉と悪玉が存在し、脂肪細胞内の中性脂肪量が適正量の時には善玉が多く分泌され、インスリンの働きを助けたり、脂肪燃焼を促したり、動脈硬化を防いだりと、健康維持機能を発揮してくれます。

 しかし、中性脂肪が増えすぎると細胞の炎症を招き、悪玉と善玉の量が逆転してしまいます。結果として、代謝低下や血圧上昇などの悪影響を招き、生活習慣病へ向かう原因の1つとなってしまうのです。

皮下脂肪について知ろう!

 読んで字のごとく、薄い皮膚の下についた脂肪が皮下脂肪です。

 皮膚の下ですから、基本的に全身についています。その役割は外部からの衝撃を緩和する緩衝材のようなもの。もちもちっとした手触りは、その機能を発揮するためなんですね。熱伝導率が低いので、低温下でも体温をキープする力も持っています。なので、これを減らしすぎると、温度の高低差に弱くなったり、免疫機能の低下を招く場合もあります。

 内臓脂肪と違って主要な血管と離れているため、ゆっくりと増える代わりに、なかなか栄養として使われにくいという厄介な面もあります。逆にいうと、内臓脂肪と違って、内分泌をコントロールすることはほとんどありません。そのため、健康への影響が少ないのです。

まず減らすべきは内臓脂肪!

 内臓脂肪が多いのか、皮下脂肪が多いのかは、ズバリ見た目に現れます。よく聞く「リンゴ型肥満」と「洋ナシ型肥満」がそれです。内臓脂肪が多いほどお腹が膨れるリンゴ型肥満になり、皮下脂肪が多いほど下半身を中心に膨れる洋ナシ型肥満になります。

 前述の通り、健康に直接的に害を与えるのは内臓脂肪が多い「リンゴ型肥満」です。もしも、今リンゴ型肥満なら、今すぐ解決に向けて動き出すことが大切。まずはかかりつけ医に相談して、食事や運動から対策をはじめられるといいですね。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献

※1. 厚生労働省,「平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要」
※2. ニュートン別冊「肥満のサイエンス」, ニュートンプレス

記事提供元

MYCODEの運営会社・株式会社DeNAライフサイエンスのグループ会社であるDeSCヘルスケア株式会社が提供する、ヘルスケアエンターテインメントアプリ「kencom」掲載記事より「『なぜ人は太るのか』〜脂肪のことを詳しく知ろう!〜」を一部改編。kencomについて詳しくはこちら


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