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とっても簡単、お金もかからないメタボ予防は「紫外線」!?

公開日:2015年2月21日
更新日:2021年4月26日

 皮膚がんのリスクやシミ、シワの原因になるなど、今ではすっかり悪者のイメージがついてしまった紫外線。西オーストラリア大学の研究グループは、紫外線には、肥満やメタボリックシンドロームの進行を抑える役割があるとする研究成果を報告しました。


すっかり悪者のイメージがある紫外線、実は健康に良い面もある?(写真:Shutterstock.com)

「紫外線」あなたはどんなイメージがありますか? 

 紫外線は皮膚がんのリスクを高めるといわれ、すっかり悪者のイメージがついています。しかし、西オーストラリア大学の研究グループは、紫外線が肥満やメタボリックシンドロームを抑える効果をもつと報告しました。

紫外線にはメタボ改善効果あり、ビタミンDのみでは効果なし

 紫外線を浴びることにより体内でビタミンDと呼ばれる大切な栄養素を合成することができるといわれています。サプリメントを用いた臨床試験では証明されていないものの、ビタミンDには、肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病を抑える役割があるのではないかと、注目されていました。

 研究グループは、肥満のマウスを用いて紫外線照射もしくはビタミンDの服用により肥満や2型糖尿病を抑えるかどうかを調べました。肌が赤くなる程度、赤くならない程度の紫外線照射を長期間行ったところ、どちらの場合でも体重増加、グルコース不耐性、インスリン抵抗性、非アルコール性脂肪肝といった指標の値が全面的に改善されたのです(※)。しかし、ビタミンDの服用だけでは同じような効果は得られなかったため、紫外線による上記のような効果はビタミンDによるものではないと考えられました。

 今回の研究はマウスを用いた結果ですが、ヒトでの研究も期待したいですね。なぜ紫外線を浴びることによって肥満やメタボリックシンドロームを抑制することができるのかはまだはっきりしていませんが、紫外線がいつも悪者であるとばかりはいえないかもしれません。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Geldenhuys S, Ultraviolet radiation suppresses obesity and symptoms of metabolic syndrome independently of vitamin D in mice fed a high-fat diet., Diabetes.