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肥満やメタボに効く新薬候補の物質を発見!?
肥満改善薬の登場?
肥満や糖尿病は、健康の妨げや寿命が短くなる要因となるうえ、医療費の面からも大きな社会問題となっています。
2015年、米国ソーク研究所の研究グループは、脂肪燃焼やカロリー消費に効く新しいタイプの薬を開発したと報告しました。
腸での脂肪の吸収のしくみに着目
研究グループは、肥満対策の薬の開発のために、「胆汁酸」による脂肪燃焼のしくみに着目しました。
胆汁酸は、食物として腸に入ってきた脂肪の吸収を促進する体内物質として知られています。 これまでの研究で、この胆汁酸の分泌を増やし、脂肪燃焼を促進するには、ファルネソイドX受容体(FXR)というタンパク質を活発に働かせることが重要だということが報告されていました。
研究グループは、腸に存在しているFXRのみに作用してその働きを活性化する、フェキサラミンという薬に着目して研究を進めました。
腸のみで働く
このフェキサラミンを飲むとあたかも腸が食事をしたときのように働くそうです。たくさん食べ物を食べた時と同じようなシグナルを体内に出させ、なんと食べなくても脂肪を燃焼させる働きをするそうです。
マウスの実験では、体重増加が止まる、コレステロールの低下、血糖値のコントロールといった効果が確認できたそうです。
これまでの薬は血液中に溶け込み、薬が体全体で周り副作用を引き起こす問題がありました。フェキサラミンは、血中に溶けず腸のみで働かせることができるため、他の薬より副作用が少ないと考えられています。今後、肥満やメタボリックシンドロームの新しい治療法へとつながっていくかもしれません。
監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。