• 虫歯
体質・身体

お口の健康に大切な唾液!私たちの体が虫歯から歯を守るしくみとは

公開日:2015年6月9日
更新日:2020年12月3日

 私たちの体には細菌に対する様々な防御機構が備わっています。米国の研究グループは、唾液に含まれている成分が、虫歯の原因となるミュータンス菌に対してどのような防御能力をもつかを調べました。


口の中をきれいな状態にしておくことで、虫歯予防の効果を高めたいですね(写真:Shutterstock.com)

虫歯の原因となるミュータンス菌

 虫歯(う蝕)の原因菌の一つにミュータンス菌が知られています。ミュータンス菌は歯に付着した後、歯の表面にバイオフィルムを形成して増殖し、有機酸を作り出すことで歯のエナメル質を溶かしてしまいます。それが虫歯です。

人の体に備わっている防御機構に着目

 私たちの体には細菌に対する様々な防御機構が備わっています。その中の一つとして、「ムチン」と呼ばれる、体内で作られる粘液の成分が、細菌に対する防御の役割を担っていることが報告されていました。

 ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の研究グループは、唾液にもムチンが含まれていることに着目し、この唾液のムチンが虫歯を引き起こす菌に対してなんらかの作用をするのではないかと考え、唾液ムチンと虫歯との関連を調べました。

歯への付着を防いだ

 その結果、ミュータンス菌の数が増えやすい砂糖の主成分のショ糖が存在し唾液ムチンがない条件では、ミュータンス菌の歯への付着とバイオフィルムの形成量が多くなったのに対し、ショ糖があっても唾液ムチンがある条件では、ミュータンス菌の付着もバイオフィルムの形成も低減することがわかりました(※)。

 このように、唾液ムチンには、虫歯を防ぐ効果があると考えられます。食事をした後、歯磨きなどで口の中をきれいな状態にしておくことで、唾液による虫歯予防の効果を助けたいですね。


監修者

医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。

参考文献

Frenkel ES, Salivary mucins protect surfaces from colonization by cariogenic bacteria., Appl Environ Microbiol.


あなたの遺伝子検査結果をみてみよう!!