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入れ歯に差し歯にインプラントはもう不要?画期的な治療法とは?

公開日:2015年1月11日
更新日:2019年10月30日

将来完全に治療できるとなっても、予防は大事。歯磨きは毎日しましょう!(写真:Shutterstock.com)

放っておくとコワイ歯周病

 お口の中には300~500種類の細菌が住んでいます。これらの細菌たちは、普段はお口の中を健康に保つために、数のバランスを保って住んでいます。

 しかし、歯磨きをさぼって口の中に食べかすが残っていたり、甘いものを食べ過ぎたりすると、歯周病菌が大喜び!一気に増えて、歯茎に炎症を起こし始めます。さらに放っておくと、歯を支えている骨まで溶かされてしまい、歯はグラグラ。それでもまだ放っておくと、やがて血管に入り、心筋梗塞や脳梗塞を起こして命をおびやかすことも!

 歯周病は決して甘く見てはいけない病気なのです!!

どうやって治すの?

 初期の歯周病の場合、歯周病菌を除去して(プラークコントロール)、歯医者さんでぐらぐらした歯の噛み合わせを調整します。その後は、毎日の歯磨きで徐々に治していきます。歯周病が進み、あごの骨まで溶けてしまった場合などには手術をします。残念なことに歯が抜けて無くなってしまった人は、入れ歯という事になります。

未来の治療法「幹細胞治療」で歯を作り直せるかも!

 自分の歯が無くなってしまうのは、悲しいし不便なことです。しかし今年11月、中国の研究グループによって「自分の歯をもう一度作りなおせるかもしれない!」という内容の研究報告が出たのです!

 最近の研究で、炎症を起こした歯の神経のあたり(歯髄)に、「幹細胞」とよばれる細胞が存在することがわかりました。「幹細胞」は、これから増えて骨や血管などいろいろな組織になれる「万能細胞」のことです。

 研究グループは、歯周病の炎症部分からこの幹細胞を取ってきて、それを増やして歯を作り直せそうかどうか、試しました。ちなみに幹細胞は、かなり悪化した炎症部分からも、取ることができたそうです。

 取ってきた幹細胞を歯の根元に移植してみたところ、なんと歯を形作る「象牙質」や、歯の神経などが出来てきたのだそうです(※)。

 今回は、完璧な歯になった訳ではありませんでしたが、研究を重ねれば、近い未来に、自分の細胞を使って、歯を作り直すことが可能になるかもしれません!
「入れ歯」が昔の歯科治療として、博物館に並ぶ日も来たりして・・・!?

 でもとにかく、歯医者さんはこわいし、歯がなくなるのも嫌だし、やっぱり毎日きちんと歯磨きをしましょうね!


監修者
医師 石原藤樹先生
プロフィール:1963年東京都渋谷区生まれ。信州大学医学部医学科、大学院卒業。医学博士。研究領域はインスリン分泌、カルシウム代謝。臨床は糖尿病、内分泌、循環器を主に研修。信州大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科を研修の後、1998年より六号通り診療所所長として、地域医療全般に従事。2015年8月六号通り診療所を退職し、北品川藤クリニックを開設、院長に就任。著書に「誰も教えてくれなかったくすりの始め方・やめ方-ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ-」(総合医学社)などがある。

参考文献
Sun HH, Investigation of dental pulp stem cells isolated from discarded human teeth extracted due to aggressive periodontitis., Biomaterials.

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