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【六号通り診療所の医師によるコラム】牛乳は健康に悪いのか?

2015年07月07日 10時00分

 医師による特別コラム、第7弾です!これまで牛乳は定期的に飲むのが良いとされていましたが、近年は牛乳が健康に悪いのではないかという意見もあるようです。スウェーデンの研究グループは10万人を対象とした大規模な研究を行い、牛乳の健康への影響を報告しました。


239 milk intake

写真はイメージです。記事と直接の関係はありません。(写真:Kim Hansen/クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0 非移植)

 特別企画、六号通り診療所の所長の石原藤樹先生によるスペシャルコラムをお届けします!今回は「牛乳」について書いていただきました。

健康のために定期的に飲むのが良いと言われていたが・・・

 こんにちは。六号通り診療所の石原です。

 今日は牛乳と乳製品の話です。

 牛乳を定期的に飲むことが、健康に良い食生活である、という考え方は、比較的最近まで世界的に広く認知された考え方でした。

 成長期のお子さんの場合には、身長を伸ばすために有効だと、中学校の先生が指導していたのを覚えていますし、大人になってからは、将来の骨粗鬆症の予防に有効だとされていました。

 しかし、その一方で牛乳は健康に悪いのでは、という考え方も、近年では決して少数派とは言えません。

体内で牛乳が分解されるとストレス物質ができる?

 牛乳は、かつては粘膜を保護する、胃潰瘍の治療薬としても使用されていました。

 牛乳には乳糖が含まれていますが、この乳糖は人間の乳糖分解酵素により、ブドウ糖とガラクトースの2種類の単糖類に分解され、その後に身体に吸収されます。

 このガラクトースは、比較的少量の摂取においても、動物実験では酸化ストレスを増し、慢性の炎症を引き起こして、老化を促進するという複数の報告があります。

 仮に動物実験と同じことが、人間にも当てはまるとすると、1日コップ1から2杯程度の牛乳を飲んでいても、老化が促進されるということになり、これは由々しき事態で、今の牛乳の摂取についての考え方を、根底から見直さないとならない、ということになります。

女性では総死亡リスクと骨折リスクが高まる

 しかし、本当にそれは人間においても当てはまるような事実でしょうか?

 2014年のBritish Medical Journal誌に、スウェーデンにおいて、10万人を超える大規模な調査結果が報告されました。

 牛乳の摂取量を一番少ない群で1日コップ1杯(200ミリリットル)未満、多い群ではコップ3杯以上で計算すると、女性では一番少ない摂取量の群と比較して、最も多い群では総死亡のリスクが、関連する別箇の要素を補正した上で、1.93倍有意に増加していました。

 男性の同じ検証では総死亡リスクは1.10倍の上昇に留まっていましたが、上昇する傾向は有意に認めていました。骨折のリスクも女性では若干ですが有意に増加していました。

 牛乳以外の乳酸飲料やヨーグルト、チーズにおいては、こうした総死亡や骨折リスクを増加させるという影響は、確認はされませんでした。

 つまり、牛乳の摂取量が多いほど、女性では総死亡のリスクが増加し、骨折リスクも低下しないばかりか、むしろ増加する傾向を示します。

 男性においては女性ほど明確ではありませんが、少なくとも総死亡についても骨折リスクについても、牛乳による良い影響は確認出来ません。

 この影響は牛乳を毎日コップ1杯以上飲めば出現し、その量が多ければ多いほど顕著になりますがヨーグルトやチーズでは認められません。

牛乳に悪い影響があると断言できないが・・・

 ちょっと単純化し過ぎた考えかも知れませんが、個人的な現状の僕の理解はこうです。

 動物にせよ人間にせよ、赤ちゃんの時期には成長促進のために、ガラクトースが必要であり、そのために分解酵素の活性も高いのですが、その時期を過ぎれば、むしろガラクトースが過剰にあると、成長促進=老化に繋がるので、摂取量は少ない方が良い、と考えると理解し易いような気がするのです。

 当面牛乳に悪い影響がある、と断じるようなことは出来ませんが、成人の場合には、牛乳の摂取は1日コップ1杯程度に留めておくことが、現状では安全な選択のように思います。

参考文献
Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies.

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